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最終回 ベトナムの変わらぬユルさ

 もう15年になるのか。

 初めてベトナムを旅したときからそんなになるとは思わなかった。昨年『ベトナム・ストーリーズ』という本を出すときに自分の中のベトナム史を振り返ってみて、そんな感慨にとらわれた。人からよく「15年でベトナムも変わったでしょう」と言われるので、手帳に「変わったところ」「変わらないところ」を書き出してみた。

【15年で変わったところ】
▽ビザや滞在許可証、移動許可証が無くなった
▽日本から直行便が出るようになった
▽ベトナム人が普通に奢ってくれるようなった
▽現地で働く日本人が増えた
▽若い女性旅行者が増えた
▽ビルが増え、高級ブランドショップが出来た
▽シクロをほとんど見かけなくなった

【15年で変わらないところ】
▽夜中、サイゴンホテルの前にいるおばちゃん
▽ゴミとか、街が相変わらず汚い
▽工事現場など街に響く槌音
▽人々のユルいところ

 僕みたいな飽きっぽい人間が15年も同じ国に通い続けられているのは、やっぱり人の「ユルさ」が変わってないのが大きいな。「ユルさ」とはつまり、こういうことだ。

 ベトナムに住んでいる人はみんな体験があると思うが、日本から宅急便のような荷物を送ってもらうと一度、税関に留め置かれ、自分で取りに行かなくてはいけない。そこでパスポートを提示すると輸入禁止品が入っていないか調べられ、関税を支払わされる。これがけっこう高かったりするのだが、日本語教師をしていたとき、善意で日本から国語辞書を大量に送ってくれる人がいて、青ざめた。書籍は関税だけでなく、重量や冊数に比例して高くなっていくいわゆる「検閲代」もかかるのだ。しかも当時は月給100ドルの身、まともに支払う余裕なんて全然無い。そこで覚えたてのベトナム語で「私は日本人です。ここでベトナム人に日本語を教えています」というと、なんと「わかった。じゃタダで持って行け」ということになった。これが日本なら「それとこれは関係ない」か「ご事情はわかりますが規則なので……」ということになるだろう。

 でも税関というしゃちほこばった組織のなかで、このテキトーな判断。なんか好きなのだ。この話を現地の日本人に言うと必ず「うっそー」と疑わしそうな目つきをするのだが、本当である。ちなみに違う機会では、提示しなければならないパスポートをビザ延長のため当局に提出していたため手元になく、それでVISAカードを出して「日本のIDカードみたいなものだから」といって荷物を出したこともある。あとから日本領事館の人から「あんたみたいな人がいるから日本が誤解される」と怒られたが。

 経済が発展して街が大きくなって偉そうになってくるとこのへんの「ユルさ」が真っ先に失われそうなものなのだが、まだホーチミン市には健在のようだ。

 昨年ホーチミン市で僕にすれば久しぶりに1泊100ドル以上する高級ホテルに泊まった。……すいません、見栄を張って嘘をついてしまいました。正確には「久しぶりに」ではなく「初めて」です。

 それで、そこのホテルのビジネスセンターにあったパソコンでインターネットを利用して「お会計を」というと、高級ホテルらしく制服のボタンをきちんと襟元まで止めて、髪を美しくまとめ上げたフロントの女性がハッとした。 「利用時間を計るの忘れていたわ! どのくらい使っていましたか?」 「1分ぐらい」 「じゃそれで」

 日本なら「こちらのミスだからお代はけっこうです」となるかもしれないが、「とにかくなんでもいいから払って」という、ユルさがいい。

 ユルさがあるからこの街と付き合ってこれた。ベトナムと15年ということは、そこで出会った人々とも15年のお付き合いということになる。友だちがいらない僕にすれば珍しい長さの交友関係だ。たぶん、たまに会ってもどうでもいい会話しかしないユルい関係だから続くのだろう。これからもベトナムにどのくらいの頻度で訪れることができるかわからないけれど、いつまでもユルくあってほしい、と妙なことを願いつつこのコラムを終える。

写真・文/神田憲行 かんだのりゆき
 ノンフィクションライター。黒田ジャーナルを経て独立。ベトナムでの日本語教師時代を綴った『ハノイの純情、サイゴンの夢』(講談社)ほか、アジア・ベトナムに関する著書多数。ベトナムと15年に渡り関わり続けてきた氏の集大成として2007年12月、『ベトナム・ストーリーズ』(河出書房新社)を刊行。

題字/黒田茂樹(楽書家・写真家)
「古民家ギャラリー いい樹なもんだ」主宰。http://www.geocities.jp/g_iikinamonda

(2008年8月号 | 2008年8月19日 火曜日 13:58 JST更新)

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