明日はどっちだ？　現地採用はつらいよ...
　こんにちは29屋さん。日本で大学卒業後、２年ほど勤めた会社を辞めてベトナムに語学留学。昨年末から某日系企業の現地採用社員として働き始めたのですが、正直生活が苦しいです。日本と比べて物価が安いこの国で住むぶんには、贅沢さえしなければなんとか暮らしてはいけるのですが、とてもじゃないけど結婚資金（いまんとこ予定ナシ）を貯めたりする余裕はなく、年に一度の帰国費用もサラリーマン時代の貯金から出しています。今の勤務先の人間関係などには不満は無いのですが、物質的な面で上司（日本からの駐在で来ている）をうらやましく思う気持ちが無いとも言い切れず、自分自身複雑です。以前は「外国で働ける」というだけで満足していたような気もするのですが、このモヤモヤとした不安感の正体が分からず困っています。どうしたらよいものでしょうか？

PN：OH！小麦峠（28歳♂：ベトナム在住　３年目）

理想と現実の損益分岐点を、心の中に見つけるべし
　先ず、貴男自身が何故ベトナムで働こうと思ったかを正直に思い出してみて欲しいのですが、「人々の笑顔が...」とか、「躍動するアジアの息遣いが...」とか、どっかの雑誌から５秒で見つけてきたような凡百のお題目は面接試験用にでも取っておくとして、ズバリ自分の本音と向き合ってみてください。今は苦しくとも将来的に高収入が約束されている仕事（例：研修医、政治家秘書）とか、見習が済んで暖簾分け→独立すれば腕次第で生計が立てられる仕事（例：板前さん、とび職）、あるいは生甲斐のために貧乏しても構わないと思える仕事（例:プロボクサー、ボランティア）であれば話は別ですが、貴男がどれにも当てはまらないのであれば、あきらめて身の丈にあわせた仕事と生活を送った方が良いのではないでしょうか？

　『欲』というものは種類や程度の差で美醜が決まるのであって、それ自体は決して恥ずべきものではありません。『手に入れるための情熱』と言葉を置き換えてみたら、そんなに悪い感じはしないはずで、むしろそれを実現させる能力があるかどうかが問題です。何をどれぐらい得られれば『満腹』になるかというのは人それぞれ。貴男自身の食いしん坊ぶりを自己採点して見て下さい。第二の山田長政にでもならなければいけないのか、一日一回ロースカツ弁当が食べられれば満足なのか。世の人々に賞賛されたいのか、趣味に生きられればいいのか。そして、その欲求を満たすために何をどれだけ犠牲にすることができるのか。高い木ほど強い風に耐えられる幹の太さが必要ですが、どーですか、おきゃくさん？（BY ダチョウ倶楽部）

　自分の器と限界を認めた上で、『絶対に譲れないもの』を見つけください。貴男が見積もっていたよりも、幸福はずっと安上がりなものかもしれないですよ。

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（ベトナムスケッチ2004年2月号）