いつかギラギラする日･･･。野性的な男になりたい。
　はじめまして29屋さん。私の職場は日本人、ベトナム人含めて女性社員ばかりで、私は唯一の男なのですが、彼女たちは私のことをオトコ扱いしてくれません。別にモテたいというわけではないのですが、あからさまに「羊」とか「パセリ」とか呼ばれると腹が立つのを通り越して悲しくなってきます。なんとか見返してやりたいのですが、口では絶対に勝てないし、万一腕力に訴えても下手をしたら負けてしまうくらいの貧弱な私では、肉体を使って力仕事やなんかでアピールしたりすることも出来ません。こんな私がワイルドでダンディな男になるにはどうしたらよいものでしょうか？

PN:チャールズ侮論損（24歳♂：サイゴン駐在4ヶ月目）

草食動物が肉食動物より弱いとは限らない
　世間一般で女性が求めるワイルドさというのは、サジ加減が難しいところなので慎重さが必要です。小林旭や宍戸錠の口調で昼ゴハンを注文しろとか、サイゴン川に飛び込んで口に魚をくわえて飛び出して来いとか、犬を見たら捕まえて食えとか、そういった真のワイルドさは実社会において非常に奇異に映るようですのでやめておいた方が身のためです。貴男の温和な性格そのものは個性であり長所であるので、いじったり変えたりする必要はありませんが、怒るべき時に怒ることができないというのでは、それは弱さを言い訳するカムフラージュに過ぎません。そして「どんな時にどうやって怒るのか」によって男としての評価が決まってきます。

　貴男の場合、自分自身の仕事を省みて職場での責務を果たしておられるという自負があるのであれば、必要以上に深刻に 取る必要はありません。あまり気にしないで<返し技>を研究しましょう。ただし貴男の仕事がお粗末だったりした場合には、例え貴男がどんなにワイルドだろうがダンディだろうが、間違いなく馬鹿にされていることでしょう。古来より男の仕事は狩りに出て、獲物を取ってきてナンボなのです。

　悔しさや恥ずかしさがあるから、人は努力をして成長します。己の弱さと闘って克服するばかりが正解ではなく、上手く共存したり、回り道を取って違う方向を探すことも可能なはずです。

　でも、それはそれとして体力があるに越したことはないので、念のため逃げ足ぐらいは鍛えておきましょうね。もしくは握力だけを異常に鍛えてリンゴを握りつぶすぐらいの芸当が出来れば大丈夫です。羊の命懸けの突進は、そう簡単には止められません。大事なのは必死の力、日常の覚悟。心の刃を研ぎ澄ませて、穏やかに微笑みましょう。

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（ベトナムスケッチ2003年12月号）