＜「水上人形劇」って何か知ってる？＞
水上人形劇では、
こんな物語を演じているんだ

　演目数は、通常17。ベトナム語での上演がほとんどだけれど、シンプルで短い物語ばかりなので、｢意味がわからないのでは？」という心配は無用。とは言え、せっかく見るなら120％楽しんでもらうために、人気のある演目を紹介しよう。
※水上人形劇の演目および写真はすべてタンロン水上人形劇場のもの

カエル釣り [Cau Ech]
プログラム6番

■あらすじ
　一生懸命カエルを釣ろうとするのだが、なかなか成功しない男。やっと釣れたと思ったら、最後は蛇に取られそうになるというお話。釣り人を意味するグオン（Nguong）という言葉は、「貧しいけれど、楽観的で性格のいい人」っていうイメージがあるんだって。また、そんな彼が「獲物を釣り上げる」というのは、「いい女と結婚する」ことを暗示しているそうだよ。

�@「みなさーん！　みんなは海や川で魚を釣るけど、僕は女の人を釣っていまーす！」「はー、面白い！」	�A「私はカエル釣りの名人、チャン。皆さん、カエルがいっぱい出てきた。」	�B「チャンさん、あそこに大きいカエルがいるよ。蝶々が2匹いるところに。」	�Cカエルは釣れるが、最後は蛇に追いかけられてあわてて逃げるチャンさん。

こういうコミカルな演目が多いのが、水上人形劇の特徴のひとつなんだ。

アヒル農法とキツネ狩り [Danh Cao Bat Vit]
プログラム7番

■あらすじ
　産んだけど、ちっとも面倒をみないから、我ら夫婦が育てなくっちゃ…という農村の老夫婦の生活を描いた演目。普段は夫や子供をこよなく愛する優しいベトナムの女性も、いざ財産が奪われるとなったら黙っちゃいない。そんなべトナム女性の強さを、この夫婦の姿から読み取って欲しいな。

�@「おかしいなあ。アヒルが子供を産んだけど、自分じゃちっとも育てない。」	�A「おばあちゃんはどこ？池にアヒルを見に行ってよ。」	�B「わかったわ。あら、おじいちゃん。キツネが出てきましたよ。」
�C「たかが小さなキツネ一匹とれないなんて、ダメな人ね！」	�D奥さんに怒られたダンナさんは、必死でキツネからアヒルを取り返すことに成功。

昔から、ベトナム人の女性は強いのです…。

レロイ王、ホアンキエム湖の伝説
[Truyen Thuyet Le Loi Tra Guom]
プログラム12番

■あらすじ
　実在の王レロイ（Le Loi）が、明からの独立を果たしたのは1428年。その史実の裏にある伝説に基づいてつくられたのが、この演目だ。

　明からの独立を目指し1418年に決起したレロイは、10年間の戦いの末、神から「神剣」を授かり、それによって勝利を収める。レロイが王となったある日のこと。王が湖に船を浮かべてハノイの景色を楽しんでいると、突然、大きな亀が姿を現し「剣を返しなさい」という。そこでレロイ王は、亀に剣を返還。これ以降、この湖は 「還剣湖（ホアンキエム湖）」と呼ばれるようになったというお話。

�@歌：ベトナムの景色は美しい。湖は光り輝き、王はのんびりお酒をのみながら湖を回っている。	�A「おかしい、ここには何かがいるようだ。この剣で、斬ってやろうか…。」	�B「今、ベトナムは平和になりました。水の神からの命令です、刀を返してください」
�C刀を返すレロイ王	�D歌：この刀のおかげで、多くの敵を打ち負かした。平和になったから、この剣を持ち主に返そう。この湖はこれから、「ホアンキエム（還剣）」と呼ばれるだろう。

ハノイではあまりにメジャーな伝説だけど、あらためてお芝居でみると印象深いものなんだ。

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スケッチトラベル・水上人形と名物料理

（2006年4月号 | 2006年4月10日 月曜日 10:27 JST更新）