あの世だって近代化
あなたの知らない冥器の世界

　ハノイ市内にも、冥金のみを作る工場はいくつもあるが、冥器の多くはバクニン（Bac Ninh）省で作られている。中でも有名なのがソンホー（Song Ho）村。村内は1軒1軒が家内工場で、各家庭ごとに作る冥器の種類がだいたい決まっている。占い用の大型冥器専門、テレビや冷蔵庫などの電化製品専門、伝統的な帽子専門、などなどだ。ここ数年の経済発展に伴い、ベトナム人の冥器にたいする高級志向が高まっており、村はフル稼働で冥器を生産。そのおかげで、村のあちこちに「冥器御殿」も出現している。

　作っても、すぐに燃やしてしまう冥器。資源の無駄遣いと思われがちだが、じつはとってもエコ。土台や裏側などの見えない部分には、工場などから引き取った刷り損じの不要紙などを使用。色を塗ってしまう部分に使われるのも不要紙だ。