＜第9回＞
大胆かつ繊細。蟹と蛤の旨みを閉じ込めて
Mud Crab Ravioli〜Garlic chive, roasted claw, clam-coconut nage〜
蟹のラヴィオリ

	新メニューである同品は、一皿15万ドン（約1140円）。隠れ家的な雰囲気の中、まったりとした時間を楽しんで

　独自の感性でアレンジしたフュージョン料理でもてなしてくれる「スーXu」。そんな同レストランで今回頂いたのは、蟹と蛤の旨みをたっぷりと包みこんだラヴィオリだ。

　蟹肉のデリケートな旨みを封じ込めるため、茹でではなく焼いた爪肉を大胆にトッピング。ラヴィオリにナイフを入れれば、リーキとあさつきの爽やかな香りとともに、ぷりぷりの蛤が顔を覗かせる。そして、そこにかかるソースは蛤の茹で汁を使ったナージュ。通常は水をベースにするが、ベトナムだけにココナッツミルクを使用。少し甘めのまろやかな風味が素材を優しく包みこみ、ふわふわの泡が口の中でとろけるような味の広がりを楽しませてくれるのだ。爪肉が丸ごと載ったインパクトとは裏腹に、とことん柔らかな味のこの一品、優雅な気分で味わいたい。

（2006年5月号／2006年5月29日 月曜日 8:55JST更新）