＜第6回＞
一杯の蟹に、
新たなるベトナム料理の形を見る。
Farci Crab／蟹のファルシー

	新鮮なマッドクラブを使った同料理は、１杯19万5000ドン（約1430円）++。新メニューのため要予約、とのこと

「ナムカー Nam Kha」は、高級シルク専門店「カイシルク」のカイ（Khai）氏が手がける、ホーチミン市有数の高級ベトナム料理店。そこで今回は、オリエンタリズムをテーマとした華麗な店内で、同店自慢の蟹料理をいただいてみた。

　ファルシーとは、フランス語で「詰め物をした」という意味の料理で、その名の通り、蟹の殻の中に、蟹肉、豚肉、しいたけなどがたっぷり。そして表面にはこんがりと焼き目のついたサクサクのパン粉が。フランス料理ではバターやチーズを入れるところを、代わりにキノコやベトナム産の米麺ブンを使い、ベトナム風にアレンジ。そのため、ボリュームがありながら、さっぱりとした味わいに仕上っている。塩コショウやスイートチリを付けるのも、ベトナムならでは。さすがナムカーの仕業といった一品だ。

（2006年2月号／2006年2月28日 火曜日 8:10JST更新）