[帝廟]
ミンマン帝廟（孝陵）　
権力全盛・第2代皇帝の巨大廟

	広い廟内で際立つのは、高くそびえる明楼(Minh Lau)。本来は休憩所としてつくられた。建設途中にミンマン帝が没したため、その魂がすぐに入って休めるよう窓が多めにある。
	(左)奥へ進むと、池を越えたところに墓所がある。墓所は円形の島になっている。 (右)ちなみにミンマン帝のお顔はこんな感じで柔和な印象も。この肖像画は王宮の世祖廟の祭壇で見ることができる。

漁「フーン河を上がってこれからどこへ行くんでしょう、皇帝さま？」

帝「お前を帝廟に案内してやるのだ。それぞれの皇帝の個性があってわかりやすいぞ」

漁「それぞれって、皇帝全員、ちゃんと13人分あるんでしょうかね？」

帝「いろいろあって行くのは7つ。おお、着いたな。まずはここが予のミンマン帝廟、別名は孝稜。敷地は約1700�uある。1840年から1843年まで、長い時間をかけて作ったのだ」

漁「ホントに長い工期ですな。その割に、手前の門が閉じたままってのはひどく不便だ」

帝「あれは予が死んで埋葬される時、特別に1度だけ開けられた門、つまり予専用だ」

漁「何やらもったいない感じ。門の前には象に馬、官吏の像までいっぱいあるしなあ」

帝「彼らは予とともにあの世に行くのだ。他の廟にもあり、みな皇帝に付き従う。ちなみに官吏の像のうち、剣を持つのが武官、腕を組んでいるのが文官である」

漁「あぁ、それにしてもこの廟、真っ直ぐに奥へ奥へと進みますな。本当に真っ直ぐだ」

帝「この構造は予、ミンマン帝の性格、『直情』を表すとも言われているぞ」

トゥドゥック帝廟（謙稜）　
詩人皇帝、余生の地

	この帝廟はトゥドック帝が余生を過ごすためにつくられ、帝は池の前で花見や読書を楽しんだとされる。
	(左)石碑には他の廟と異なり、トゥドゥック帝自作の詩が刻まれている。少年時代に天然痘を患ったため、裏側下部には「痘」の字も。 (右)廟内の劇場(Nha Hat)では、絵の描かれた天井を見上げよう。皇帝を表す太陽が、星・月とともに描かれている。

漁「どうもこの廟、建物が全部『謙』の文字を持つようですな」

帝「鋭いな。トゥドゥック帝が謙譲な男だったからだ。フランスの侵略に無力だった自分を恥じ、悔やむ気持ちが終生あって、それが廟の名前や建築に影響しているのだ」

漁「じゃあ、墓所の前の池には水がありませんけど、これも何かそんな理由が？」

帝「深い質問であるぞ、チュン。『皇帝の父』である天の恵みである雨を受けながら、子どもをつくれなかった罪を清めたかったからだと言われているのだ。子どものことでは妻に対しても恥じ入り、廟内の自分の位牌を妻よりを低くしているのである」

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スケッチトラベルで行く！
時間のないあなたに。フエ1泊2日の旅

（2007年7月号 | 2007年7月25日 水曜日 11:04 JST更新）