Dalat Trade Union Tourism Hotel
帰ってきたような
居心地のよさ

　「建物に関する書類はすべて紛失してしまいました。それになにしろ私が生まれる前のことですから、人づてに聞いたことしかお話できませんが…」と前置きしつつ、管理責任者のQuyさんが話してくれた。本館A1は1930年代に建てられ、もともと政府とは特に関連のない一個人のものだったという。

　これだけの大邸宅に住む人物だから、かなりの資産家だったのだろう。スンフ−ン湖畔の丘にそびえ、110年というダラットの歴史の半分以上を見守ってきたこの家は、その後教会のような役割を果たした時期もあったそうだ。

　建物の四方は遮るものがなく、どのバルコニーからの眺めも最高。階段も廊下も天井も、贅沢にゆとりを持った間取りは当時そのまま。いちばん広い部屋にはベッド5台と応接セットが置かれているが、まだまだ広い。

　国営ホテルになって10年。「労働組合ホテル」の名の通り、歴史的邸宅として仰々しく保存せず、一般労働者のための安価な宿泊所として普通の家のように使用されていることにも好感。どの部屋にも親しい友人の家に招かれたようなホッとする暖かさが溢れている。

　「外国人の方もご利用できますが、設備は中心地にある新しいホテルには遠く及びませんよ」とQuyさんは謙遜するが、古いながらも隅々まで行き届いた手入れの良さがこのホテルの全てを物語る。大勢の気持ちの温かい人々に守られながら、年老いたヴィラは今日も生きている。

住所　1 Yersin St.
電話　(063) 822173 / 822186

建築年
A1棟/1937年
Son Cuoi棟/1990年

部屋数
A1棟/24室
Son Cuoi棟/14室（2棟合計）
設備 TV

料金
A1棟/1名5万ドン〜（約365円）
Son Cuoi棟/1名5万ドン〜（約365円）