風と砂と光と海と
モンスーンが育てた
繊細な地球の色（アースカラー）を求めて

　砂丘にのぼってみた。

　ついさっきまで、芝生に覆われた椰子の木陰に寝ころんで、まばゆい海を見ていたのが嘘のようだ。一面の黄色い砂、風紋が落とす影と照り返しが作るグラデーション。空までが、いつもより濃く青くのしかかる。

　雨季に入れば日々のスコールが街路をびっしょりと濡らしていくホーチミン市から200kmしか離れていないというのに、ムイネーに雨はほとんど降らない。乾いた表土を風が運び、選んだ場所に落とす繰り返し。

　どんな自然の魔法なのだろう、場所を変えると砂の色も突然変わる。この砂丘を越えてホンロム岬へ向かうと白砂の世界だ。

　傾いた太陽が砂に新たな色味を足し、あたりがこの世ならぬ空気に包まれていく頃、家路を急ぐ天秤棒が足早に通り過ぎた。

　明日の朝早く、ムイネーを発つ前に、もう一度来よう。この風景を確かめに来よう。

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◇Column ムイネーを上手に旅するには

（2003年4月号）