近いのに未知のエリア
川の向こう側・2区へのへ小旅行

　サイゴン川の向こう側。手を伸ばせば届くような近くにあると言うのに、旅行者はもちろん、在住者でもなかなか行くことがありません。そんな川向こうにある、近くて遠い「別世界」に、あなたも足を伸ばしてみませんか。意外な発見がありますよ。

■わずか5分だけどローカル色満点の船旅

	川の下を走るトンネル建設の計画もあり、この情景が見られるのはあと数年だけかも

　川向こうに行くのに最も手軽な手段は、Ton Duc Thang（トンドクタン）通りの、ルネッサンスリバーサイドホテルの前から出ている連絡船に乗ること。朝4時から夜23時まで、大体10分間隔で運航しています。運賃は500ドン（約4円）。船着場で切符を買って乗り込みます。わずか5分ですが、ちょっとウキウキしてくる旅のプレリュード。

■本格的な乗馬ができるスポットを発見！

	五輪競技にもなっている障害乗馬も習うことができる ／厩舎は簡素ながら清潔。それぞれの馬房の前には名前と年齢が書いてある

　船を降りたら、いよいよ2区探検の始まり。まずは船着場から5分ほどのところ、メインストリートであるLuong Dinh Cua通りと交差するTran Nao通りを右に入ったところに、珍しいものを見つけました！　それは本格的な乗馬クラブ。名前はSaigon Pony ClubというNPO団体が運営するクラブで、15頭の馬を所有しているそうです。

　 「会員制ですがビジターさんのお試し乗馬も大歓迎です」とは、英語とフランス語を自由に操りながら、お客さんの相手をしているマネージャーのLe Thi Thu Cucさん。料金は1時間20万ドン（約1400円）、30分11万ドン（約770円）。単に馬に乗るだけでなく、正式な乗馬方法を習いたい場合は、1回7万ドン（約490円）でコーチもつけてもらえるそうです。子供用のポニーもあって、幼稚園くらいの小さな女の子たちも、乗馬遊びをしていました。周りを木立に囲まれた馬場で、優雅な時を過ごしてみてはいかが？

【サイゴンポニークラブ】
　住所　738 Tran Nao St., Dist 2
　電話　(08) 7415344
　営業　8:00〜18:00（月曜休み）
　料金　入会金150US$と月会費50US$が必要

※週末は会員の利用が優先されるので、「ビジターの方はなるべく平日の午前中に来てください」（クックさん）とのこと。

■これぞ穴場！の庭園レストラン

	（写真上）夜はライトアップされて、さらにロマンティックなムードに（写真下左）ここがイチオシの池の中のテーブル（写真下右）わさび醤油で食べる特製生春巻き

　もう1つ、船着場から車で約20分と、ちょっと遠くなるけど、今回の2区探検で見つけた、とっておきの穴場をご紹介しちゃいましょう。それは、土地に余裕のある2区だからこそ可能な、庭園レストラン。名前は「quan thoi gian」。

　まるで日本の銀閣寺か天竜寺かと思う庭園の中に、合計４つの建物があって、そこで食事が楽しめるという趣向。中でもお勧めなのは、池の中央に浮かぶ島に設けられた庵で、テーブルは１つだけ。周りを池と木立に囲まれ、まるで山水画の世界の中に入り込んだような気持ち良さ。またお店の一番奥の竹林の中には、竹の安楽椅子がしつらえてあり、半分寝転びながら、のんびりとお茶を楽しむこともできます。

　料理のメニューはベトナム料理だけど、わさび醤油で食べる特製生春巻き（1本5000ドン/約40円）、青いジャックフルーツが入った3種サラダが3万9000ドン（約270円）など、オリジナルメニューも。その優雅な舞台設定の割に値段はリーズナブル。コーヒーは1万ドン（約70円）、各種鍋料理も6万ドン前後（約420円）で食べられます。2003年7月にオープンして以来、市内中心部でも滅多にお目にかかれないような、洗練された雰囲気と味に惹かれて、遠路はるばるお客さんがやって来るそうです。

　店名　quan thoi gian
　住所　90 Nguyen Thi Dinh (moi), P. Thanh My Loi., Dist. 2
　電話　(08) 7420523
　営業　10:00〜22:00（無休）

■小舟に揺られて狭い水路をのんびり

	2区から眺めた夕日。ホーチミン市の高層ビルの向こうに沈んでいく

　川向こうの風景を楽しむもう1つの方法は、ボートトリップ。マジェスティックホテルの前には、個人でやっているボート屋さんがあって、「ボートに乗らないか」と声をかけてきます。このボートトリップ、幾つかのコースがありますが、町の中心部を背にして右側（ホーおじさん記念館のある方向）に向かうのが2区の水路を回るコース。

　船はまず、対岸の2区を左手、サイゴン港に並ぶ船を右手に眺めながら、下流に向かって進みます。大きなタンカーの周りに、洗濯物を干している水上生活者の小さな船がコバンザメのように浮かんでいたりして、なかなか生活感があります。

　30分程度進んだところで、左にある小さな水路へ。ドンコイ通りやレロイ通りの様子からは想像できないくらい、昔ながらの生活の風景が展開されます。川で洗い物をしているおばさん、半裸で走り周りながら、声をかけてくる子供達などなど。そんな田舎の風景の向こうには、カラベルホテル、サンワタワーなど、近代的なビルディングが見え、その対比はとても印象的。これは、道路からでは見ることができない、ボートトリップならではのアングルなのです。

　値段は1艘1時間20万ドン（約1400円/10人乗り）。人数が少ない場合は、交渉すれば値引きしてくれることもありますので、レッツトライ！

（2004年5月26日 8:55更新）