ハノイからもっと南へ！
タインホア省リゾート＆カルチャートリップ

　ハノイから南に150キロに位置するタインホア省は、人口約350万人のベトナムで一番大きな省。実は日本人にはあまり知られていないが、ハノイっ子たちが大好きなサムソンビーチや600年前に栄えた城跡など見所が沢山あるのだ！

北のブンタウといえばココ
ハノイっ子に人気のサムソンビーチに行ってみよう！

　ハノイっ子にハノイから行ける近場のキレイな海水浴場と聞けば、必ず返って来る答えがタインホア省のサムソンビーチ。ハノイから車で約3時間の比較的近距離にあるこのビーチは、南でいえばホーチミン市から気軽に行けるブンタウのような存在だ。ビーチの歴史はフランス統治時代から始まり、今ではシーズンともなると大勢のベトナム人で賑わう。7キロに及ぶビーチにはサムソンという名の海抜90メートルの小高い丘があり、岬となって海に突き出てビーチを二分している。海水浴場として賑わうのはその北側になる。

喧騒から離れた海岸の北端に
隠れ家的リゾートが誕生

　その北側のビーチの岬寄りは、ベトナム人を対象にしたホテルやレストランがギッシリと建ち並び、シーズンともなると人ごみと喧騒に包まれる。しかし、ビーチの北端にはまだ手つかずの、のどかな漁村が存在している。ビーチの喧騒から離れたそんな場所に、昨年の秋、こじんまりとしたお洒落なリゾートホテルがオープンした。ホテルの名前は「Van Chai Sam Son Resort」。オーナーのベトナム人夫婦は、ベトナム人にも外国人にもリラックスできる場所を提供したいと、子供の頃から慣れ親しんでいたこのビーチにリゾートホテルを作る夢を実現。ホテルの名前は、地元の人たちとの素朴な交流を大切にしたいという願いから、Van Chaiというその村の名前をつけたと言う。ホテルの設計はベトナムの主要なリゾートを手がけてきたフランス人設計者に依頼。建物からビーチまでの広々としたガーデンスペースや、竹や土などの天然素材を使ったナチュラルタッチの家具は、ゲストにリラックスしてもらうように考えだされたもの。海に面した客室からはワイドビューを楽しむこともできる。現在はヴィラ４棟10室が営業中。

Van Chai Sam Son Resort
住所：Quang Cu, Sam Son, Thanh Hoa
TEL:(037)793333

ビーチ以外も楽しめる
600年前に建てられた城跡へ

	城跡の周りにはのどかな田園風景が続く。胡朝城は、現在、ユネスコ世界文化遺産の候補になっている

　そのほかにもタインホア省の見所はある。タインホア市から北西に約30キロ行った所に、ベトナム唯一の石垣の城跡が残っているのだ。これはチャン朝を倒してホー朝を築いたホー・クイ・リー王が、1389年に完成させた胡朝城の跡。当時は東西南北約880メートルに及ぶ広大な土地に、土盛りと近くにある石灰岩の山から取った切石を組んで構築させた、高さ約5メートルの壮大な城壁があったという。現在残っているのは、3つの門からなる高さ約8メートルの正門のみ。しかし、その堂々たるさまは見応え十分。城壁跡に上ることもでき、そこから眺めるのどかな風景もまた美しい。

（ベトナムスケッチ2004年2月号）