仏領時代の客船に泊まる、
ハロン湾クラシッククルージング

	デザインは実際に20世紀初頭ハロン湾に浮かんでいた蒸気船を復刻したもの／キャプテンは陽気なオーストラリア人のジョディさん／各キャビン前はもちろん、いたることころにチェアが用意され、各自思い思いに寛ぐことができるのが嬉しい！

■見かけはレトロ、中身は５ツ星ホテル！
　1906年から1945年にかけての仏領時代、ハロン湾を行き交う4隻の外輪船があった。エメラルド、パール、サファイア、ルビー。煌びやかな宝石の名を持つ船たちは、ハロン湾の幻想的な風景と共に優美な姿を水面に映していた。そんな古き良き外輪船が、この度復活。それが昨年末に就航した、復刻版クルーザー"エメラルド号"だ。

　このかつて活躍した客船を復活させたのは、長年インドシナ半島で各種事業を行ってきたフランス人のエリック・メルリンさん。彼は、ある時ハロン湾に浮かぶ蒸気船が載った古いポストカードをフランスで発見。100年前にそうした優雅なクルーズ船が存在したことに驚き、ぜひとも復活させたいと、かつての船のオーナー一族を探し出した。その後、当時の船に関する資料も入手。４隻の内、最も早く就航していたエメラルド号に目をつけた。

　建造に当たっては、外観はオリジナルのデザインに出来る限り近づけ、今の時代にもマッチするように、内部はエレガントかつ快適に仕上げるよう工夫を凝らしたとのこと。乗船客がゆったりと寛げるように、全長55メートルの船体には39室のキャビン、80席の優雅なレストラン＆バー、そして350平方メートルの広々としたアッパーデッキラウンジが設けられ、安全装備や航行装置も最新のものを装備。更に、ベテランのオーストラリア人がキャプテンを勤め、快適な船旅を約束してくれている。

	頑丈なアルミフレームの船窓が額縁代わり／清潔＆快適なキャビン／食べたいだけチョイスできるビュッフェスタイルの食事／間近に島々を眺めながらのハイティーはいかが？

■海を走るアートギャラリー！？
　行程は1泊2日が基本で、正午にバイチャイの桟橋から連絡船に乗り込むところからその旅は始まる。10分ほどで湾内に停泊するエメラルド号に到着し、乗船後アッパーデッキラウンジでのウエルカムドリンク、その後各キャビンに案内される。キャビン内はコンパクトにまとめ上げられており、落ち着いた内装とほど良い硬さのベッド、清潔なシーツ類が何とも心地良い。また、各キャビン前のデッキには対のチェアも用意。専用チェアに座り、自室のベランダから気兼ねなく外が眺められるのも嬉しいところ。

　出航後、まもなくするとビュッフェスタイルの昼食タイム。ベトナム料理と洋風料理の両方が用意され、食事を取りながら船窓から眺める外の景色は、さながら額縁に入った絵画のよう。それをのんびりと鑑賞していると、まさに水に浮かぶアートギャラリーにいるような気分にさせてくれるのだ。
　午後は広い船内で寛いだり、洞窟見学や島巡りを楽しんだりと、自由な一時をどうぞ。夜7時からは昼食時と同じくビュッフェスタイルのディナーとなるが、昼食時とはメニューも一新、近くで捕れた蟹のタマリンド炒めなども加わり、ボリュームもアップする。もちろん食事の後の楽しみは、停泊し静寂の中に包まれたアッパーデッキからの一面の星空！　それを眺めながらグラスを傾ける、その瞬間こそがハロン湾クルーズの醍醐味かもしれない。

　翌朝７時からビュッフェスタイルのコンチネンタルブレックファーストを取り、午前10時にはバイチャイ沖に到着。迎えの連絡船に再び乗船し、桟橋へ。わずか一昼夜の船旅だが、ハロン湾の雄大さと優雅さを共に味わえ、ゆったりリッチな気分にもさせてくれる、満足度抜群の花マルクルージングだ。

このクルージングのお問合せは下記まで
・SKETCH TRAVEL（日本語対応）
TEL：(08) 9104266
・Emeraude Classic Cruises
住所：59A Ly Thai To St., Hanoi
TEL：(04) 9340888
http://www.emeraude-cruises.com

（ベトナムスケッチ2004年4月号）