＜フエ＞
ちょっぴりマニアな隠れ名所の旅�J
美談が彩るフエの屋根付き橋
タントアン瓦橋(1776年)

	今も学校帰りの子供たちが集まったり、村人が昼寝をしたり
	橋を渡って左手の博物館では、当時の農機具などを展示（不定期休）

　1700年代初めのこと。フエのこの地に、はじめて入植してきた中国人たちがいた。当時この村には粗末な橋しかなく、雨が続くと川が増水して渡れなかった。

　そんな中国人の1人、ダオ（Dao）さんがある日、市場に行くと、毎日そこにいる売り子の姿が見えなかった。心配したダオさんが売り子の家を訪れると、売り子はむしろを被って寝ていた。売り子は「昨日市場の帰りに雨に降り、川が増水して粗末な橋は流されてしまった。そこで歩いて川を渡ったため濡れてしまったが、とても貧しいので着替えが無い」という。子供のいないダオさんはその話を聞いて、こう考えた。「自分が死んだら弔ってくれる人もいない。それならば、自分の財産を使って、ここに橋を掛けて祠を作り、村の人たちに弔ってもらおう」。

　そうしてダオさんは私財を使って、この場所に屋根付きの橋を掛けた。この橋は、当時から200年以上経った今でも村の人たちに愛されており、人々の憩いの場となっている。

Cau Ngoi Thanh Toan
住所：Xa Thanh Toan, Thua-Thien Hue Province（タントアン/Thanh Toan 市場前）フエ市内から約15分。途中の農道には街灯が無いため、自転車などで行く時は夜間は避けよう
電話：なし
開館時間：なし（照明が無いので明るい時間に）
入場料：なし

（2008年12月号 ｜ 2008年12月16日 火曜日 17:26 JST更新）