メディカルトーク 慣れない海外×ワンオペ育児で「産後うつ」 育児負担を減らし、寄り添うことが大切

メディカルトーク

症例

27歳女性。第1児の出産後から動悸や呼吸困難があり、循環器科を受診したが異常なし。緊急受診時の問診で産後うつと診断された。治療開始後は快方に向かっている。

全体の10%がなり得る産後うつ 特に、海外での子育ては高リスク

一時的な気分の落ち込みが数日続くマタニティブルーは有名ですが、「産後うつ」はまったく別ものです。特に、ベトナムでの子育ては、実家や夫の協力が得にくいため完全ワンオペ育児になりやすく、発症のリスクが高いです。   産後1ヶ月以降の発症が最多ですが、妊娠中から産後1年でも起こります。軽症も含めると、出産した女性の10%が経験するともいわれている程です。   多い症状は、わけもなく悲しくなり涙が出る、気晴らしが効かない、授乳以外でも眠れずに起きてしまう、子どもをかわいいと思えない、自信を失い母親失格と感じるなど。ほか、症例のように説明のつかない症状に悩まされるケースも多々あります。

ママの負担を減らす環境を整える 治療には周囲の協力が必要不可欠

出産に不安はつきもの。急激なホルモン変化が原因となる産後うつは、誰にでも起こる一方、母子ともに重大な危機でもあります。   主に問診で診断しますが、エジンバラ産後うつ質問票で自己診断できる人もいます。治療は、家族全員の状況を把握した上での環境整備から始めます。たとえ短くても育児負担から解放される時間を確保し、睡眠不足や身体症状に対応します。定期的な面談で不安や相談に応じ、利用可能なら心理療法も有効です。薬物治療は、授乳への影響や安全性を考慮して行います。   治療は数ヶ月以上かかることが多いものの、治療が適切なら快復するので、長い目で負担を減らしていく工夫が大切です。
関連記事
Related Articles
世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を
2024.01.20

世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意
2023.07.15

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を
2023.06.19

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を
2022.01.19

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防
2021.12.19

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防