南と北で色彩文化が異なる/ベトナムの色使いに注目

ベトナムの色彩文化は、ベトナム国旗の象徴的な色である赤、陰陽五行説で最も尊いとされる色の黄や黒、天子を表す紫、ヒンズー教からオレンジや緑、フランスから青や白など、さまざまなものから色の影響を受けています。青や白が、建築や衣裳、陶器などに溶け込んでいるのにも頷けます。   また、現在の国旗は赤地に黄色の星がデザインされています。特に、ベトナム国旗の黄色は国土、金色の稲穂、ゴールドを表しているといわれています。   さらに、アオザイの青、白、紫、バッチャン焼きの白、青、黄や緑にはベトナムの長い歴史が込められており、ホイアンの美しいランタンはそれらの色で彩られていることが多いです。   ホーチミン市とハノイにおいても、街で使われている色に微妙に違いがあります。ホーチミン市ではパッと目を引く緑などの鮮やかな色が使用されていますが、一方のハノイの街では、少しスモーキーで深めの色が多く見受けられます。南と北では異なる色彩文化が形成されており、人々の好む色に違いがあるというのは興味深いですね。   ちなみに、日本もベトナム同様南北に長いため、日照時間の差などがあります。そのため、各地方で色彩嗜好色に多少なりとも違いがあり、それによって売れる色や売れない色などもあるんですよ。
田岡 道子  Taoka Michiko カラースタイリスト、カラーデザイナー。カラーマイスター協会理事。DICカラー&デザイン社を経て独立。大学・専門学校等での講演、美容雑誌への寄稿多数。PPGタイランド社のオートバイ新色カラーショー、トヨタ自動車の色彩調査を担当。現在は世界各国を飛び回り活動中。著書に『COLOR OF LIFE 〜色を生活に取り入れよう〜』(税務経理協会)、『色で魅せる』(青月社)、『カラーコーディネーターになるには』(啓林書房)など。
関連記事
Related Articles
日本とベトナムで異なる「色」ベトナムには緑色が多い。心を癒やし、 落ち着かせてくれる効果があります
2018.06.14

日本とベトナムで異なる「色」ベトナムには緑色が多い。心を癒やし、 落ち着かせてくれる効果があります