「色」はいつ誕生したのか/日本の古代に遡り、色の歴史を探る

先人たちは、いつから色を感じとり、それを認識し始めたのか。古代人たちは、日々の生活の中で太陽が天空に輝く喜びと、真っ暗な闇の夜の恐れに色彩を感じたといわれています。   色のルーツは「光」から派生して、「明・暗・顕・漠」と表現されます。明はアカで夜明けとともに空が赤くなっていく様子を、暗はクロで太陽が沈んでしまった様子を、顕はシロで夜が明けて辺りがはっきりと見える様子を、漠はアオで明と暗の中間の青みがかった様子を表します。これらの4原色を純粋色彩語とし、現代では「赤・黒・青・白」で使用されています。   また、この4色以外にも、「クレナイ」「アカネ」「ミドリ」「ムラサキ」「タン」「シラニ」などの植物や鉱物の名前で、自然(海、山、空、雪、雨、水)を色で表現するために代用されていました。   こうした自然の色への畏敬の念は、平安の女房装束の「襲の色目」によく表現されています。宮中の女性たちにとって、季節に合った「時に合いたる」装いをすることは、自らのアイデンティティーや知性、教養を表現し、自然への感謝と畏敬を表す「心ある」手段であり、時に合った装いをすることは、自然と同化することに他ならなかったのです。日本の伝統色には多くの美しい色があるので、それはまた次号でご紹介します。
田岡 道子  Taoka Michiko カラースタイリスト、カラーデザイナー。カラーマイスター協会理事。DICカラー&デザイン社を経て独立。大学・専門学校等での講演、美容雑誌への寄稿多数。PPGタイランド社のオートバイ新色カラーショー、トヨタ自動車の色彩調査を担当。現在は世界各国を飛び回り活動中。著書に『COLOR OF LIFE 〜色を生活に取り入れよう〜』(税務経理協会)、『色で魅せる』(青月社)、『カラーコーディネーターになるには』(啓林書房)など。
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