
症例
34歳男性。2日前から、仕事も手につかないほどのひどい頭痛がある。咳や鼻水、発熱などの風邪症状はない。市販の頭痛薬を飲んでもあまり改善しないため受診。
画像検査の要否を決めるため、
問診時には現状を詳しく伝えて
頭痛の原因は多岐にわたります。例えば風邪で熱が出ても頭痛は起きますし、長引いて副鼻腔炎(ちくのう症)になった結果の頭痛のほか、脳出血や脳腫瘍など、命に関わる頭痛もあります。
では、脳出血が心配なので頭痛の患者全員にCTやMRIなどの画像検査を行うかというと、そうではありません。それぞれの病気には症状などに特徴があり、医師は問診で画像検査の要否を判断します。交通事故で頭を打った、朝食時に突然発症した頭痛などのエピソードや痛みの強さの訴えは画像検査の必要性を高めます。一方で、朝から咳や鼻水があり熱も39度あるが仕事後の夕方に受診という場合は、画像検査よりまず解熱を試みるでしょう。
発症頻度や年齢、性別も判断材料に
片頭痛と独断せずにまず診察を
一言で頭痛といっても、原因となる病気によって治療法は異なります。
症例に挙げたこの方にも、頭痛の特徴について詳細に問診を行いました。1年前から同じような頭痛が月に1、2回あったことや吐き気を伴う、などの訴えから、年齢や性別なども勘案し、画像検査は不要と判断。最終的に片頭痛と診断しました。痛みを感じたらすぐに処方薬を飲むこと、月に3回以上など頻回に薬が必要な場合は、別の予防薬を毎日内服するという選択肢もあることをお伝えしました。
再診時のお話で、薬は効果抜群で内服頻度も月に1、2回程度と報告を受けました。予防薬は使わずに経過をみることを提案し、同意されました。