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酒井俊 さん
歌手

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カテゴリ:ベトナムの日本人
更新:2019/06/05 – 10:00

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ベトナムで歌うことで得た
価値のあるおだやかな時間

音楽“鑑賞”が稀なベトナムで
盲目人ピアニストと共演し感じたこと

2019年4月20日(土)に、ホーチミン市3区「サロンサイゴン/Salon Saigon」にて、コンサートを開催した酒井俊さん。一緒に演奏したのは、盲目のベトナム人ピアニスト、ピーター・バートマンズ(Peter Baatmans)さんだ。約1年半前から、レストラン「ルブ/Lubu」で月に1度演奏しているが、2人だけでの公演は初めて。約50人の観客が楽しんだ。

「ベトナムには純粋に音楽を聴くためのコンサート自体が少なく、彼は目が見えないこともあって、最初はレストランのお客様に向けて演奏するときと同じ心持ちだったんだろうけど、だんだんと“自分たちの音楽を聴きに来ている、食事に訪れているわけではないんだ”と感じたんだと思う。どんどん顔つきが変わっていっていろいろ感じているんだなと、胸が熱くなっちゃった」

正直、「こんなにお客様が集まってくださるとは思っていなかった」と言う。

「ベトナムはまだ、“音楽のみを聴き楽しむ”という文化が希薄だとは感じていて…。ただ、サイゴンという街において、技術を磨くためにも現場で切磋琢磨できる環境は必要。1人でうまくなるのは難しくて、高め合える仲間がいるからこそ。そういう意味ではここは発展途上で、これからもっと変わっていくと思います」

自分がやりたい音楽は、ふとした生活の中で「こんな歌をやろうかな」と思い浮かぶという。だからこそ、「これからやりたいことはわからない」。
「それでも今後10年歌い続けるためには、と今は考えています」

ベトナムに来て得た
息子夫婦とのゆるやかな時間

「ベトナムに来ようと思ったきっかけは、実は息子なの」とにこやかに笑う。

親子2人でともに生きてきた一人息子は、16歳で日本を離れアメリカに旅立ってからずっと離れて暮らしており、11年ほど前からベトナムで生活している。

「彼が32歳になったときにふと、彼の半生を一緒に過ごしていないんだなって衝撃を受けちゃった。親らしいこともしてないと思ったし、自分が死ぬときにね、“あれ、私子どもがいたはずなんだけど”なんて思ってしまうんじゃないか、それはまずいなあと思ったんです」

現在は、毎週日曜に息子夫婦が自宅にやって来て食卓を囲むのがルーティーン。

「そうするようになって1年ぐらい経ちます。息子の嫁はイタリア人なんだけど、いわゆる “日本のご飯”がとても好きで、余ると持って帰ってくれたりするの。お嫁さんとも触れ合えて、彼の幸せを感じるし、そういうゆったりとした団欒のような時間を持てたことが嬉しい。それだけでベトナムに来た価値があったなって本当に思っています。有難いなって」

これからの自分の時間は誰かのために使っていけたらなと思っている。

酒井俊 さかいしゅん
1977年、日本にてアルバム『SHUN』を発表しデビュー。2011年に初めてホーチミン市で公演を行う。2015年に本格的に来越。ホーチミン市2区にあるレストラン「ルブ/Lubu」にて月1回程度公演を行っている。次回は2019年9月予定。
ウェブサイト:http://shunsakai.net

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