レモンのないフォーなんて “クリープを入れないコーヒー”？

フォーにレモンは不可欠！
食欲が増し、味も調える

ベトナムではフォー（Phở）には生野菜や唐辛子などとともに、必ずレモンが添えられる。レモンを絞り入れ、箸とスプーンでよく混ぜてからいただくためだ。フーティウ（Hủ Tiếu）やブン（Bún）などのスープ麺でも同様で、それにはちゃんと理由がある。

まず、レモンの酸味は、胃を刺激して唾液をうながし食欲を増進させる。また、フォーの塩味が強い場合に、レモン汁がしょっぱさを軽減してくれる。レモンの風味が加わることで味が完成するという人までいる。

「熱々スープにレモンはNG」
「ビタミンＣのためじゃない」

2022年10月に『タインニエン／Thanh Niên』紙は、あるインドの栄養士たちによる「レモンのビタミンCは熱で壊れて栄養価が下がるため、料理が熱いときには入れないほうがいい」という見解を紹介。科学的にはその通りだが、この記事のコメント欄では「ベトナムのフォーを分かっていない」、「フォーにレモンを絞るのはビタミンC摂取のためではなく、おいしく食べるためだ」など諸々の“反論”が書き込まれた。

いずれにしろ、フォーの食べ方に「正解」はなく、自分の習慣や好みに合わせて楽しめばよい話。ビタミンCを損なわないよう配慮するなら、スープが冷めてからレモンを加えるのが良いそう。だが…、やっぱり熱々のフォーに入れる方がおいしいのだ。