
症例
8歳男児。関節の痛みと39℃の発熱があり、病院を受診した。綿棒で鼻の粘膜を取って調べたところ、インフルエンザA型と診断。解熱剤を内服して自宅で療養し、翌々日には解熱した。
感染力が強いインフルエンザは
飛まつ感染が主な原因
インフルエンザは、ベトナムでは1年を通して見られますが、日本人コミュニティでは日本と同様、12~2月にピークを迎えます。日本に帰省した際に感染し、ベトナム帰国後に職場や学校で広まるためと考えられます。
感染は咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む「飛まつ感染」が主ですが、ウイルスが付いた手で口や鼻に触れる「接触感染」もあります。流行期には手洗いやうがいをしましょう。
1~3日の潜伏期間の後、38℃以上の発熱、頭痛、咳、のどの痛み、鼻水、筋肉痛、関節痛などのほか、嘔吐や下痢など消化器症状が見られることもあります。鼻やのどの粘膜の検査で診断します。
治療の基本はゆっくり休むこと
薬の使用は医師ときちんと相談して
十分な睡眠と安静、それに水分補給が治療の基本です。解熱剤のうちアスピリンなどについては脳炎との関係が指摘されており、安全な薬を選ぶ必要があります。タミフルなどの抗インフルエンザ薬の効果はごく限定的で、副作用の報告もあるので、リスクと効果を医師と話し合った上で治療法を選択しましょう。
ワクチンを打ってもインフルエンザにかかることがありますが、重症化を防ぐことができると考えられています。特に、妊婦、喘息や糖尿病などの慢性疾患がある方にはワクチン接種をお勧めします。インフルエンザにかかってしまった場合は、マスクを着用して周囲に感染させないように留意してください。