「日本、アメリカ、ベトナムだけでなく、海外でメガホンをとる監督として活躍していきたい」

SpecialInterview_003 ホーチミン市を舞台としたアクションコメディ映画『サイゴンボディガード』が2016年12月に封切られた。ベトナム出資、ベトナム人フルキャストの本格作品に、日本人監督として初めて挑戦したのが落合賢氏だ。制作を経て、落合監督が新たに得た視点とは。苦労話やベトナム人キャストの印象など、撮影エピソードと共に聞いた。

――なぜ映画の舞台をサイゴンに?

ベトナムでは映画産業の中心がホーチミン市であり、撮影環境がハノイより整っていたことが理由の1つです。「サイゴン」(ホーチミン市の旧称)という音の響きもしっくりきました。撮影はホーチミン市の1~7区あたりで、レンタントン通りのCJオフィスなど、みなさんが知っている場所もたくさん出てくると思いますよ。 制作が決まった後も、かなり不安はありました。クランクイン自体できるかどうかも心配でしたし、脚本など検閲を受けなければいけなかったので、それが通るかどうかという危惧もありました。

――すべてベトナム人キャストですが、何かギャップを感じたことは。

そうですね、例えば、「これ、できる?」と尋ねて「できる、できる!」って返されたはずなのに、実は全くできていないとか(笑)。臨機応変に対応する必要があったので、それゆえに思い入れの強い作品になったという面はあります。 ベトナム人役者たちは「良い映画をつくろう」という意欲に満ち溢れていて、自分の意見を積極的に言ってくれるんですよ。チャレンジ精神も旺盛で、アクションシーンの9割は、本人がやってくれました。日本であればスタントマンを起用するであろう、バイクで路地を駆け巡るシーンも役者自身がやってくれるというのはベトナムならではでしたね。

――自身初のベトナム長編映画の制作を経て、これから目指す先は。

ベトナム映画を現地で撮る、というのは、日本映画やアメリカ映画をベトナムで撮るのとは大変さが全く違うと感じました。「単身でベトナムに乗り込む!」という心持ちだったので、きちんと形にすることができて、かなり自信がつきましたし、これなら世界中どこでも撮れるなと。 今まで日本やアメリカでの制作が多かったですが、“外国で映画を撮る監督”という強みを生かし、ベトナムはもちろん、他のアジアでも映画を作っていきたいです。ゆくゆくは“日本人とベトナム人共演のベトナム映画”も作れたらいいですね。ただ面白いものでないと観客に響かないので、その大前提は忘れないようにしたいです。 映画には、その時その時代の国の文化がとても色濃く反映されていると思っています。今回の映画がベトナムをさらに深く知るきっかけになったら、とても嬉しいです。 SpecialInterview_004
『サイゴンボディガード/Ve Si Sai Gon』 大企業の後継者誘拐をめぐって、キム・リー(Kim Ly)演じるトリン(Trinh)とタイ・ホア(Thai Hoa)演じるビエン(Vien)の最強のボディガード2人がサイゴンを駆け巡るアクションコメディ。笑いが満載のテンポ良い作品だ。2016年12月よりベトナム全国のCGV映画館などにて上映。
落合賢  1983年生まれ。東京都出身。高校卒業後に渡米し、南カリフォルニア大学で映画制作を学ぶ。大学卒業後は、アメリカ映画協会付属大学院(AFI)映画監督科で修士号を取得。短編と長編合わせて30本以上の作品を国内外で監督している。代表作にウエンツ瑛士主演の『タイガーマスク』、『太秦ライムライト』など。
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