メディカルトーク/第113回健康診断を活用して大腸がんの早期発見を

メディカルトーク症例

40歳代の男性が過去の健診で便潜血を指摘されるも、「痔のせい」と自己判断し放置。4週前から便秘と下痢を繰り返すも「お腹の風邪」と放置していたが、血便を発見し受診。内視鏡、CTにて、進行大腸がんと診断。

今回のドクター

中島敏彦総合診療医/インターナショナルSOSハノイクリニック
①「大腸がん」ってどんな病気? 大腸がんとは、大腸(盲腸、結腸、直腸)に発生する悪性腫瘍で、日本人ではS状結腸と直腸に発生しやすいといわれています。現在、日本では患者数が増加しており、国立がん研究センターによると、2015年には罹患率で第1位、死亡率では肺がんについで第2位となると予想されています。特に40歳過ぎから加齢とともに罹患率が高まります。 ②原因は生活習慣や遺伝など リスク要因として加齢(40歳以降に罹患率が上昇)、飲酒、喫煙、運動不足、肥満、遺伝(大腸がんの家族歴がある)、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)歴があるなどが挙げられます。これらに思いあたる人は、かかりつけ医に相談してください。 ③自覚症状がある頃には進行中 自覚症状には、腹痛、血便・下血、便通異常、便が細くなるなどがあります。しかし、がんの初期では自分では症状に気づかず、何らかの症状が出現する頃には、進行がんである場合がほとんどです。 ④進行すれば化学療法や放射線療法も ごく早期は内視鏡治療も選択肢ですが、がんが進行すると、開腹手術や腹腔鏡下手術が必要です。さらに進行(リンパ節や他臓器に転移)すると、手術に加え化学療法が必要になります。病状によってはこれらの治療に放射線療法を組み合わせることもあります。 ⑤早期発見が何よりもカギ がんの治療成績の評価には「5年生存率」がよく用いられます。これは「治療開始から5年後の時点で生存している人の割合」で、大腸がんの5年生存率は、早期発見の患者では94・3%、進行がんの患者では13・2%といわれています。早期発見のためには、何よりも健康診断を毎年受けることが重要です。
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