ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 1月号

外国人の住宅所有が解禁、 改正住宅法

国会が可決した、2015年7月1日(水)に発効する改正住宅法では、外国人の住宅購入が認められており、不動産市場の追い風になると期待される。 外資企業、外国企業支店・代表事務所、ベトナムで活動する外国投資ファンド・外国銀行支店、入国が認められた外国人個人に住宅所有が認められ、外国人の住宅所有は証明書取得時から最大50年となる。 (『Nguoi Lao Dong』2014年11月26日、p.03)
解説 外国人の住宅所有は2009年から試験的に認められていますが、所有できるのは、▽直接投資する人、▽受勲した人、▽ベトナム人の配偶者、▽外資企業などに限られ、購入できるのも集合住宅1戸のみでした。 建設省報告によると、それから約5年後の2013年半ば時点で、実際に所有した外国人は126人。購入できる人・物件が限られることや手続きの煩雑さ、不動産価格が地域諸国より割高なことなどが原因で、緩和を求める声が出ていました。 今回法律に盛り込む形で正式に解禁され、所有できる人も「入国が認められた人」となり、一戸建ても認められています。ただ集合住宅1棟における外国人の所有率は30%まで、一戸建ても一定地域で戸数が決まっています。さらに購入できるのは、計画された住宅開発地のみで、既存の一般住宅街では認められません。 ベトナムでは、法律の細則を定めた政令・通達が出てはじめて実際の規則運用となるため、この政令などで制約が加わるのか、そもそも法律発効までにこれがきちんと出るか、煩雑な役所手続きはスムーズになるかなど、不安な点も多々指摘されています。

ベトナムの大きな医薬・ 医療機器市場

市場調査会社グローバルデータ(GlobalData)によると、ベトナムの医薬品市場は、向こう6年でさらに50億US$規模が拡大し、2020年に80億US$に達する。年平均成長率は15.4%。 また、2012年の医療機器輸入額は約6億3400万US$、2015年には10億US$に達する見通し。現在ベトナムの医療機関で使用されている医療機器の90%は輸入品。市場調査会社エスピコム(Espicom)の調査では、医療機器インフラの投資総額は、2020年末に1300の病院(25万床)で25億US$に達する可能性がある。 (『Dau Tu』2014年12月1日、p.17)
解説 経済成長や人口拡大から、発展の潜在力が大きいベトナムの医療市場。近年は健康志向や高齢化傾向もあり、医療に対する関心は高まっています。 市場調査会社ビジネスモニターインターナショナル(Business Monitor International)によると、2012年の1人当たり医薬品支出額は約32US$、2017年にはこの倍以上に伸びる見込みです。一方で、医薬品は国内生産品では需要の50%程度にしか対応できず、輸入品が多く利用されているのが現状です。国内生産品では治療に対応できないという要因もありますが、ベトナム人の「外国製品好き」も一因で、割高でも「高い=高品質」と考える人が多く 、特に欧米製品が好まれています。 医療機器も、国内メーカーはベッドや医療用衣服、手袋など簡単なものしか供給できず、ほとんどを輸入か国内の外資メーカーに頼っています。輸入品は日本が最も多く、ほかシンガポール、ドイツ、アメリカなどから多く輸入されています。

男性の「産休」制度成立、 改正社会保険法

2016年に発効する改正社会保険法では、社会保険を納める男性労働者が、妻の出産時に休暇を取得できることが定められている。 男性の休暇は、1人の出産で5日、帝王切開や32週未満での出産で7日、双子で10日。3つ子以上で1人につき3日増やすことができる。なおこの休暇は妻の出産日から30日以内に限られる。 (『Nguoi Lao Dong』2014年11月21日、p.03、『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』2014年11月21~22日、p.02)
解説 ベトナム人女性は出産後、社会復帰する人が多いのですが、2013年に期間が延長されたとはいえ、産休は6ヶ月しかなく、問題となるのが復帰後の子供の預け先。乳児を受け入れる託児所は少なく、実家に預けたり、ベビーシッターを雇ったりする人が多いようです。 工業団地などでの幼稚園の整備は遅れており、企業単位で託児所や幼稚園を設置するのもまだ稀。一方で増えているのが会社内での「搾乳室」の設置で、職場復帰後の母乳育児継続に、授乳中の働くママからは好評なようです。 ベトナムで子育てはまだまだ女性の仕事という考えが強いのですが、今回の男性の産休制度設置をきっかけに、男性の育児参加に対する意識も少し変わるかもしれません。
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