メディカルトーク/第105回 感染力が強い 流行性結膜炎

メディカルトーク症例

5歳男児。右目が充血し、微熱を伴い来院。翌日、左目も赤く、目にゴロゴロとした違和感やかゆみ、まぶたの腫れ等の症状が現れる。数日後、家族が感染。治療後1週間で症状は改善された。

今回のドクター

グエン・ティ・ヴァン・アイン(Nguyen Thi Van Anh)医師/ヴィンメック・インターナショナルホスピタル(Vinmec International Hospital)
①流行性結膜炎とは  流行性結膜炎は、「アデノウイルス」と呼ばれる、いくつものタイプがあるウイルスの感染により引き起こされる角結膜炎の1種です。そのほか、連鎖球菌、ブドウ球菌など細菌によっても引き起こされます。  症状は、目のゴロゴロ感、結膜の充血、かゆみ、流涙(涙がたくさんこぼれる)、目やに、眼痛、偽膜(壊死組織で作られた膜)や、まぶたが腫れる眼瞼浮腫(がんけんふしゅ)などです。微熱、耳前リンパ節の腫脹、鼻咽頭炎を伴うこともあります。  通常、1〜2週間で自然に治癒し、後遺症は残りませんが、適時かつ正しく治療しないと、症状が1~3週間延び、角膜に合併症を引き起こし、視力を低下させる危険があります。そのほか、急性涙腺炎や、結膜あるいは角膜に潰瘍が残る瘢痕(はんこん)、ドライアイなどを引き起こす可能性もあります。 ②身近過ぎる感染経路  主な感染経路は、流行性結膜炎患者の手、目、唾液との直接的な接触や、空気感染が挙げられます。  また、ウイルスにより汚染されたティッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れることでも感染するなど、かなり強い感染力を持っています。 ③感染予防と治療法  予防法としては、できるだけ患者との接触を避けること。接触がやむを得ない場合には、次のことに気をつけましょう。①患者と接触する時にはマスクを着用する、②患者が使っている物(タオルなど)を共有しない、③抗炎症剤があれば点眼する、④石けんで頻繁に手を洗う、⑤目はこすらない、⑥目を洗浄する(9%の生理食塩水を使用)。  治療法は、ウイルス性の場合は、二次感染を防止するために、抗生剤を使用します。また、細菌性の場合だと、抗生剤および浮腫を減らすための薬剤を使用できます。
関連記事
Related Articles
世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を
2024.01.20

世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意
2023.07.15

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を
2023.06.19

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を
2022.01.19

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防
2021.12.19

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防