29屋的越南恋愛コラム
「愛と、勇気と、ほんの少しのお金」
最終回
カテゴリ:29屋的越南恋愛コラム
更新:2014/10/12 – 10:00
文/29屋(にくや)食材&弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「29屋に訊け!」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム恋愛模様をちょっぴり辛口、ときどき優しく(!?)、生あたたかい目で考察する。
愛は難しく、愛無きに空しい
約3年間、日越のカップルをめぐる惚れた腫れたのすったもんだについて、心に移りゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつけてきた拙連載。いよいよ今回が最終回である。
日本にいるときよりも、はるかにお金と時間に余裕があり、気楽な友達も世代や国籍を越えて作りやすく、ついつい張り切りすぎて、自分を見失うほどに突っ走ることもありがちな、「途上国」でのニッポン人。
かたや、映画の中の戦争の悲惨なイメージも、今や昔。驀進するスチームローラーの如き勢いで、街も、人の心も、旧きが新しきに作り替えられているベトナム。カップルの組み合わせが「日X日」であろうと、「日X越」であろうと、悩みの種は浜の真砂並みに尽きることはないらしい。
ただでさえ、男女の愛は、同国人同士であろうとも、難しいものである。当人同士だけの問題なうちはまだしも、親戚&ご近所づきあいや、仕事と家庭の両立、子育てや教育など、社会や第三者がかかわってくると、そのややこしさは複雑さを増してくる。いわんや、そこに、異文化、異世代、金銭感覚の違いが入ってくるとなると、これはもう、いかんともコントロールしがたい。
八百万の神々&ベトナムの仏様が示し合わせて、出会い、愛し合ったはずの二人の心が、近づいたり離れたりする有為転変は、あたかも雨期の空模様のごとし。時には己の運命に泣けることもあり、どこかにいるという「青い鳥」を探しに何もかも投げ出してしまいたくなるかもしれない。だが、敢えて言おう。過去をどれほど嘆いても、決して過去には戻れない。そして、未来をどれほど妄想しようとも、己の「分」以上には、先には行けないモノなのだ、と。
人生に必要なのは…
チャップリンが晩年の傑作『ライムライト』の劇中、希望を失い自殺未遂を図った若く美しい踊り子に諭す言葉、「人生に必要なのは、愛と、勇気と、ほんの少しのお金だよ」。
お金がなければ、どんなに二人が清く正しくとも、暮らしていけない。勇気がなければ、パートナーへの優しさを護ることはできない。
しかし何よりも、愛がなければ、男女の関係は打算と享楽にのみ裏打ちされた、何とも空しいものになってしまうではないですか。あなたと、あなたの大事な人が、幸せになるために、何が、どれだけ必要なのか。上を見ても下を見てもキリがない世の中だからこそ、「器の大きさ」を自覚するのは大事! さらば、心の友よ。また逢う日まで。ガッツ&ガッツ!
29屋(にくや)
食材&弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「29屋に訊け!」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム恋愛模様をちょっぴり辛口、ときどき優しく(!?)、生あたたかい目で考察する。
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