ヴィジュアル☆ベトナム/BETTER DESIGN AND THE X-FACTOR/デザインの向上と未知の要因

15448992_ml ヴィジュアル☆ベトナム近頃のベトナムのデザインには目を見張ることがある。広告に限らず、グラフィックデザイン、ウェブサイト、アニメーション…。どれも5年前と比べてより洗練され、面白く、明確なのだ。理由を知りたくて、その過程を見てきたRMIT大学の卒業生たちと話をした。 少しずつ複雑に、時には無意識に進んだこの変化は、市場の多様化、代理店間の競争の激化、広告主のデザインへの理解が要因だ。 「クライアントはコンセプトを求めますし、パンチの効いた広告もありますね」と、デザイン・ブランド化の専門家ダミー・アブデュルガディル(Dammy Abdulkadir)。デザイン会社が研修と教育を重視するのも要因の1つだ。 2009年卒のディン・ファム・カン(Dinh Pham Khang)は、教育機関の重視に疑問を呈する。「今どきの学生たちは、果てしなく魅力的な情報源、インターネットから学ぶことがほとんどです」。デザイン向上はインターネットの普及にあると誰もが認める。その要因は、コンテンツの質のみに限られない。 インターネットの影響を、当たり前だと片付けるのは簡単だ。だがオンライン時間の長さはベトナムが東南アジア諸国でトップ。安くてアクセスが容易なのだから当然だろう。人口の74%を35歳以下が占め、多くの若い人々がオンラインなのだ。 さらにデジタルメディア環境は、ソーシャルネットワークやユーチューブ、アイパッドが目新しかった当時より複雑だ。フェイスブックのユーザーは昨年で倍になった。シェアによるバイラリティ(自己増殖性)と開放性は、より優れたモノがより簡単に見られることだと、別の卒業生は言う。 デバイス自体の影響もある。エイプリルデジタル社ファム・ダン・ユイ(Pham Dang Duy)取締役が指摘するように、ベトナムはモバイルブームの真っただ中。家庭の経済力が増し、最もハイテクな方法でその流れについていくために、子どもにもスマートフォンを与える。子どもたちはそれを使うことで、自分の存在感を誇示するのだ。 スマホ、スターバックス、フェイスブックは、もはや必需品。大半の若者は、アプリと面白い技術を満載したデバイスでしか、この世に存在する方法を知らない。そんな商品を毎日見ることで、さらに優れたデザインへの期待は自然と高まる。控えめで関心の薄かった5年前には取らなかった方法で、若者は外と関わりをもつ。その副産物として、若い世代は自信を強めている。 一方で、各ブランドはウェブサイトだけでは不十分で、マルチプラットフォームとインタラクティヴが必要だと自覚している。そのデザイン面で頼りにされている、想像力に富んだ若手デザイナーたち自身は、すでにインタラクティヴな商品のユーザーでもある。 「入社してくる若手デザイナーは、以前よりも柔軟性がありますね。速くて大胆で、思い切ったことをやってくれますから」とユイは話す。これらすべてが未知の要因であり、より良いデザインに貢献しているのだ。 IMG_1314
Sue Hajdu スー・ハイドゥー オーストラリア人アーティスト、写真家、文筆家としてベトナムと日本で活動。シドニー大学日本学の学士号、同大学院視覚芸術の修士号をもつ。 Website:http://www.suehajdu.com facebook:Sue.Hajdu.Projects 参考資料:comScore SEAsa Digital Future in Focus 2013
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