ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 10月号

ハノイで「福岡プロモーション」、 協力強化・処理場の整備で覚書

日越外交関係樹立40周年、福岡県とハノイの友好提携5周年を記念して2013年8月29日(木)から3日間、同市で「福岡プロモーション」が開催。日本と福岡県の観光、産業、文化の紹介、伝統芸能公演、留学セミナーなど多彩な催しが行われた。 これに先駆け、グエン・テー・ターオ(Nguyen The Thao)市人民委員長と小川洋福岡県知事は、両者の協力強化ならびに福岡方式の廃棄物処理場の整備に関する覚書を締結している。 (『Dau Tu』2013年8月30日、p.02)

解説

経済連携協定や政府開発援助(ODA)といった国レベルの協力や投資にとどまらず、近年、日本とベトナムは、地方自治体による協力や交流も盛んになっています。 福岡県はハノイと姉妹都市提携を結び、交流事業を継続的に行っており、最近では県内の高校の修学旅行先にホーチミン市を選んでいます。 大阪府はホーチミン市と姉妹都市提携を結び、静岡市や京都市はフエ、横浜市はハノイ・ホーチミン市、北九州市はハイフォンと友好・パートナー都市提携があり、川崎港とダナン港も友好関係があります。 ベトナムの地方自治体からは、日本の自治体と姉妹都市提携を結びたいという要望が、日本大使館に多数寄せられているそうです。 ほか、愛知県や岡山県、埼玉県などはベトナムにサポートデスクを置き、県内企業の現地での事業展開を支援しています。ベトナムの地方も日本で投資誘致セミナーを開催するなど、積極的な活動を行っています。

ベトナムの長期電力見通し、南部逼迫は変わらず

2016年、ベトナムの電力システムは初めて、1年のピーク時にも余力を持てるようになる。基本的には2020年まではこれを保てるが、2017~2019年に電源は北部、中部で余剰が出る一方、南部は不足する。 2013年8月の閣議で商工業大臣が、中長期的な経済成長見通しと、2020年までの電源開発計画に基づくこの予想を報告した。大臣によると、南部での電力不足は、500kV南北送電線の能力増強と、南部の火力発電所の運転時間拡大でいくらか対応できる。 (『Nguoi Lao Dong』2013年8月29日、p.03、『Phap Luat』 8月29日、p.03)

解説

「第7次電力マスタープラン」では、電気生産・輸入量の目標を、2015年1940億~2100億kWh、2020年3300億~3620億kWh、2030年6950億~8340億kWhとしています(2012年の日本の電力需要は8516億kWh/電気事業連合会)。 ベトナムの原子力発電所建設での日本の協力が昨今話題ですが、現在の発電実績(2012年)は水力が4割で最多、これにガス火力(3割)、石炭火力(2割)と続きます。計画では、再生可能エネルギーによる電源(風力、太陽光、バイオマス等)の開発が優先されていますが、売電価格や優遇制度の問題から進行は遅れています。 2013年5月、ビンズオン(Binh Duong)省で送電線に樹木が触れ、南部全域で大停電が発生、交通や生産に多大な影響が出ました。これを受けて、政府は南部の電力システムの投資・改修を優先する方針です。

カード決済1年で57%増、さらなる伸び期待

国家銀行によると、2012年第2四半期、各種カードによる取引は495万件、17兆7300億VND(約852億円)だったが、2013年第2四半期にはそれぞれ33%、57%伸び、657万件、27兆8900億VND(約1340億円)となった。 ここでのカード決済は、海外銀行が発行したカードによる取引、国際決済、預金、引出、送金者と受取人が同一の送金、貸出、債務返済といった金融機関と顧客の各種決済を含まず、純粋な商品売買取引を指したもの。 『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』2013年8月13日)

解説

デパートなどでの買物の際、カード払いは外国人が多数派ですが、ベトナム人の利用も目立つようになりました。 2013年第2四半期末時点で、全国で発行されている国内決済カードは5489万枚、国際決済526万枚。うちデビットカード5575万枚、クレジット210万枚、プリペイド231万枚、カード決済できるPOSレジは11万ヶ所。2010年末時点でカード発行数は2850万枚、同5月時点でPOSは3万7000ヶ所でした。 「不要」、「サービスがよくわからない」と、現在は現金決済が主流ですが、店では破れた紙幣の拒否や100VND単位の端数“ごまかし”も多く、消費者も小銭を嫌うため、煩わしさのないカード払いは支持を得そうです。一方、「銀行が信用できない」、「盗まれるのが怖い」といった心理も根強いようです。 なおベトナムで「カード」といえば、一般に「ATMカード」を指し、上のデビットカードは専らATMでの引き出しに使われています。
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