ベトナムの日本人/仲佐明人さん/ファミリーレストラン「モモズ」店主

変わらないこだわりと、変わり続けるしなやかさ。 誰もが気軽に利用できる「日越式ファミリーレストラン」を目指して

IMG_8853 日本でやっていることをそのまま持って来てもだめ。味も価格もこの土地のお客様に喜んでいただけるように考えて改良を続けています」。 市街地の喧噪から離れた静かなエリア。バイクや車のクラクションの代わりに、路地で遊ぶ子どもたちの声が聞こえてくる。そんな場所にファミリーレストラン「モモズ」を構える仲佐明人さん。柳に風折れ無し―しなやかな枝が実は一番強い―そんな諺を思い起こさせる人だ。 当初は飲食店をやるつもりはなかったという。ただ、妻の母国であるベトナムでしばらく過ごすうちに、あることに気付いた。それは、当地の飲食店は、麺料理の専門店や各国料理の店など、何かに特化した店がほとんどだということ。 「もっと家族みんなでいろんなメニューが気軽に楽しめる、日本のファミレスのような場が欲しいと思ったんですよ」。 昨秋のオープン当初は、ハンバーグやオムライス、寿司など日本のファミレスの定番メニューを揃えていた。 「実際やってみると、このエリアに住むお客さんの嗜好に合わないものがあって…。カツ丼とか人気のメニューは残しつつ、少しずつベトナム料理も加えたりして改良していきました」。 地域の暮らしに溶け込んだ同店には、次第に常連客も増えてきた。 「通学前に朝食を食べに来る学生たち。昼食をとる近隣の労働者。放課後は子どもたちがアイスやパンケーキを食べ、夜は家族みんなで食事に来てくれる。いろいろな使い方ができるのがファミレスの強みですから」。 環境に合わせてしなやかに変わり続けるこの店は、夫妻のこだわりに支えられている。それは「お客様あってのお店だというおもてなしの心」と「味へのこだわり」だ。 「例えばラーメンは昆布と煮干しをベースに、脂身の少ない鶏胸肉からさらに丁寧に脂を取り除き、やさしい味に仕上げています」。 そう語る仲佐さんが手際よく仕上げたラーメンを一口いただく。滋味深い味わいの透き通ったスープ、もっちりとした食感の手打ち麺、丁寧に手作りされたシナチクや、旨味がじゅわりとしみ出す煮卵。そのクオリティの高さに驚く取材陣を前に、自身は実にひょうひょうとした表情で「手間はかかりますけど、レストランですから美味しさにこだわるのは当然ですよね」。 これほどのものを2万8000VND(2013年7月現在)で提供しているのだから、愛されないはずがない。 「まあ、やってみないとわからないですからね、何でも」と軽やかな笑顔を見せる仲佐さん。進化を続けるこの店は、その名にこめた願い通り、地域の誰もがくつろげる「『桃』源郷」になろうとしている。
仲佐 明人 なかさ あきひと 日本の大手ファミレスチェーン店で23年勤めたのち、妻の母国であるベトナムへ。2012年11月、ホーチミン市8区に「モモズ/MoMo's」(D. E Zone, Ground FL., D1 Apartment Buld., Phu Loi Residental Area, Ward 7, Dist. 8)を開店。その地に合ったファミレスを提案している。
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