メディカルトーク/第87回 昼間だけじゃない!/夜間熱中症に注意

メディカルトーク症例

65歳男性、起床後からのめまいと頭痛にて外来受診。血液検査にて脱水を認めた。前夜は夜中に寝苦しく発汗もあったが、エアコンは使用しなかった。夜間熱中症と診断し点滴を行ったところ、体調は改善した。

今回のドクター

白井拓史医師/ロータスクリニック
①夕方以降に発生する夜間熱中症 熱中症とは、暑さによって体温調節がうまくいかず、体内に熱がこもることで発生する急性の病気です。そして夜間熱中症とは、夕方17時以降の夜間に発症する熱中症のこと。 熱中症というと日中に屋外で発症というイメージがありますが、実は夜間に家の中でも起こっています。熱中症による死亡者の4分の1は夜間に亡くなっているのです。 ②昼間にこもった熱が原因 住宅のコンクリート壁は、日中に太陽の日差しで熱くなっています。コンクリートは暖まりにくく冷めにくい性質があり、昼間にこもった熱が夜間に放出されるため、室内の温度が上がり熱中症を引き起こすのです。 寝室が西に面している場合、昼から夕方の一番暑い時間帯に熱せられ、夜中にその熱によって室温が上昇し熱中症を起こしやすくなります。とくに最上階の部屋では、熱が上(屋上)からも来るので温度が上昇しやすいのです。 ③知らないうちにかくれ脱水 気づかないうちに身体の水分が減り、脱水症の一歩手前の状態になっていることを「かくれ脱水」といいます。これははっきりした症状が出にくく、脱水症になりかけているのに気付かず悪化。水分が減って汗をかけず、発汗による体温調整ができなくなることで、熱中症を引き起こしてしまいます。 ④夜間熱中症の予防のために エアコンが使用できる場合は、寝る1~2時間前につけて部屋や布団を冷やしておきましょう。その時に、タンスや押し入れを開けて中にこもった熱を外に出し空気を入れ替えることで、部屋を効率よく冷やすことができます。就寝する際には、ドアを開ける、扇風機をかけるなどして風の流れをよくすることが熱中症予防のポイントです。
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