ベトナムの日本人/林 天功さん/ヴィーサーヴコネクション運営

技術力は高い彼らの作品が日本だけではなく、 いつしか、ベトナムでも広まってほしい

ベトナムの日本人/林 天功さん/ヴィーサーヴコネクション運営

ベトナムの日本人「彼らの生活にハリができればと思っているんです」。 ハンディキャップを持つベトナム人をスタッフとして迎え、「張子」のワークショップ「ヴィサーヴコネクション」の運営を1年半前に始めた林天功さん。工場を訪問した土曜の昼下がり、ベトナムならば、昼寝をしているベトナム人がいてもおかしくない時間帯ともいえるが、そこにいたスタッフたちはもくもくと作業をし、少し照れくさそうにしながらも挨拶を交わしてくれた。 「事業を始めた当時、30人近くスタッフがいたのですが、突然、全員やめてしまったことがありました。考えられないようなことが次から次へと起こるので、刺激的というか、くたくたになるというか…。でも、今いる10人の子たちはとっても真面目で助かってますよ」。 彼らが作っているのは「めでたい」という意味をもつ魚の形の張子。1人1つの作業工程を担当し、流れ作業で1つの作品が出来上がる。当初は日本に納品しても「不良品」と言われ、受け付けてくれなかったそう。 「なぜダメだったかを彼らに伝えることで、どんどん改善されていきました」 昨年は月平均5000 個近く納品を出来たが、目標は月産2万個。 「彼らの生産するスピード能力はまだまだ劣っているかもしれませんが、技術の蓄積は高い。日本の会社は他国でも張子の生産を行っているようですが、『あなたの工場の商品はとてもいい!』と言っていただきました。褒められるとやっぱりうれしいですよね」 と、満面の笑みで話したと思いきや、 「最近分かってきたことがあるんです」 と、渋い顔つきで口を開いた。 「たとえばポリオで足が悪いと、実は他の部分の障がいを持っていることが多い。突然熱が出たり、発作で倒れたりすることもあるし、また精神的な問題点も多々ある。そこはきちんとこちらも把握しておかなければならない」。 そんな体の状態でも一生懸命な彼ら。勤務時間の7時30分~17時30分のコアタイムだけではなく、時間外も工場にいることが多いとか。 「部屋に帰ってもすることがないから、暇だから、という理由で、朝6時から仕事を始める人がいるかと思えば、遅くまで作業をしてくれる人もいて、驚きました」。 彼らの真面目振りに、心底救われている様子。「50代、60代になったらボランティア活動に参加してみるのも良いかもしれません。僕はこれから5~10年は続けたいです」 と話す林さん。 「皆が作った製品が日本で認められた今、今後はベトナムでも張子を広めていけたらいいですよね。多くの方々のご支援をいただいているので、恩返しの意味でもがんばりたい」。 いつしかベトナムでも、張子が根付く日が来るかもしれない。
林天功 はやしてんこう ベトナム在住歴18 年目。障がいを持つベトナム人のためのワークショップ「ヴィサーヴコネクション/ V-SeRVeconnection」を運営。工場の施設内には、7つの慈善団体が行っている活動報告やグッズ販売も行われている。 www.v-serve.org http://vserve.blog.fc2.com
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