メディカルトーク/第82回 口内炎や痛みを発する/「歯科金属アレルギー」

メディカルトーク症例

38歳の女性が、口内炎や手足の湿疹が治らないと訴えて来院。金属アレルギーを疑い、銀歯を除去してセラミックに交換したところ、症状が改善した。

今回のドクター

内田結貴歯科医師/スマイルデンタルセンター
①「歯科金属アレルギー」とは? 歯科金属アレルギーとは、銀歯など歯科治療で使われた金属から溶け出した金属イオンが、たんぱく質と結びつき、からだが異物とみなすことによって起こる病気のことです。口の中で金属は常に唾液と触れており、そこで溶け出した金属イオンが体内に入り込んでしまい、アレルギー反応が起こります。 ②口の中に存在する金属が原因 日本の保険治療で使用する金属には、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、水銀、スズなどが含まれることが多いです。これらの金属はアレルギーを起こしやすいため、治療後の長期間にわたり口の中に存在することで、アレルギーの原因となる場合がよく見られます。 ③主な症状は口の中。皮膚炎の症状も 口内炎をはじめ、頬の内側のただれや灼熱感、痛みなど口の中に表れます。他にも、掌や足裏に水疱や湿疹ができたり(掌踵膿胞症)、アトピー性皮膚炎が悪化する、あるいはなかなか改善しないなど、口の中の金属が原因で、全身の他の部位に皮膚炎の症状が出ることもあります。 ④まずは金属を取り除くこと まずアレルギー反応の原因となっている、金属を除去することが最優先。銀歯などを取り除いて、プラスチックやセラミックに置き換える処置を行います。ただし、インプラント治療に使われるチタンはアレルギーを起こしにくいと言われており、この限りではありません。 ⑤セラミックなどに交換を どの金属にアレルギーが出るのかパッチテスト等で調べ、その金属を身につけないのが最も確実です。とくに歯科金属は口の中にあって日ごろ意識しないため、それが原因になっている可能性を忘れがち。アレルギー症状がひどくなる前に早めに除去して、プラスチックやセラミックに交換することをおすすめします。
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