2012.11.06

ベトナム嫁姑問題も根は深い? 姑・嫁・夫の三角関係

自分の発言や振る舞いが、相手に強い影響を与えあう2人の女性。彼女たちのそれぞれの主張はかなり興味深いものだ。その2人の女性とは、嫁と姑。万国共通かつ永遠のテーマ「嫁姑問題」は、ベトナムにも確実にある。今回は、夫の母と同居予定の婚約中カップルが本音を炸裂。結婚前から、問題はすでに存在していた。
姑のイイブン

とにかく私の言うことを聞きなさい!

私には長年の経験があるんですから、生活でも教育方針でも、私の言うこは正しいの。どうしてうちの嫁は、それが分からないのかしら。
「私は常に正しいんですよ。私が腹を立てるのは嫁のせいよね」。 こう言い切るイェン(Yen)さんは、「嫁は姑に従うに尽きる」と断言する。「まず、一番気にいらないのは、『セクシー』だからって、みだらな服装で出かけることですね。本当につらいわ…。子どもの育て方も、座り方も、話し方も、彼女はぜんぶ間違っているんです。どれもこれもが悩みの種。私のやり方に従うべきですよ。正しいんですから」。 年配であることの解釈も、嫁とは違う。 「あの子は、もう私が年だから、いろんなことがよく分かってないと言うんです。でも、そうではありません。これまでの長年の経験があるからこそ、私には正しいやり方が分かるのです」。 婚約してから、息子が自分の世話を焼かなくなり、嫁にばかりかまっていると嘆く。 「だからすべては嫁のせいなんです」。
嫁は新しい生活を受け入れて、私のやり方を理解するべき
うまくいくための方法を尋ねても、イェンさんの意見は一貫している。 「いいお嫁さんというのは、やっぱり私の言うことをよく聞いて、それに従うものなのですよ。うちの嫁は、私のやり方を理解して、素直に受け入れるということが分かっていないから、嫁が原因で喧嘩になってしまうんです。私が思うように尽くしてほしいだけなんですけれどね。彼女はうちの嫁なんですから」。 問題が起きるのは嫁に非があるため。自分が変わるのではなく、変わるべきは嫁。その主張が一瞬たりともぶれることはなかった。
嫁のホンネ

別居したい!でも、結局は私が我慢すればいいのかな…

実家で私はプリンセス。でもダンナさんの家では、つらくてたまらない! 部屋の中で妻は天国、夫は地獄。一歩ドアの外に出れば、夫は神様、妻は…お手伝いさんみたいじゃない!
「いまは婚約中で、もうすぐ籍をいれるんですが、すでに嫁姑問題はたくさんありますね。結婚後はもっと大変になるのかも」とクエ(Que)さん。すでに、料理、話し方、子どもの教育方針でぶつかっているそうだ。「うちの実家では、料理の味付けは絶対に甘くしないんです。なのに、ダンナさんの家では何にでも砂糖を入れるから、義母の作る料理は全く食べられない。義母も私が作るものに手を付けなくて困ります。果物の切り方とか、私のやることは全部注意されるんですよ」。 姑の発言の意図が分からずトラブルになることも。「『そのままにしておいて、私がやっておくわ』って言うから、『はい」と返事してそのままにしておいたら、義母に怒られたんです。ああ、本当はやってほしいっていう意味だったんだなと、勉強になりました」。 子育てに関する意見も合わない。「まだ子どもはいないけど、義母はベトナムの昔からのやり方で育てたい。私は科学に基づいた方法がいい。その時が来たらどうなるのかな」。 2人とも働いているため、家事は夫婦で分担したいが、義母は「嫁の仕事だ」という。服装、座り方、話し方、食べ方、帰宅時間…。すべて注意されてしまう。
解決には別居しかない。 無理なら、義母のやり方を学んで、がんばるしかありませんね
姑には、夫の家族と同居する「嫁」の経験がないそうだ。 「だから私の立場で考えるのが難しいのかも。 いつも『自分のやり方が一番だ』 って言うんです。自分がミスしても絶対に認めませんしね」。 問題解決には「別居が理想」というクエさんだが、未来の夫は長男で一人っ子のため、別居はできそうにない。 「ダンナさんのために、自分の家族を守るために、不本意だけれど自分のこれまでの習慣を変えるしかありません。 義母のいる前では怒らず、義母の好みとやり方を学んで従いますよ。 うちの母がやらないことばかりですけれどね」。 夫のイケン

男は問題を放置してはいけない!まずは話し合いから

嫁姑の意見相違は当たりまえ。 大切なのは、男がどうやって解決するかじゃないかな
「嫁と姑の仲が悪いのは、前世からの因縁なんでしょうね。 顔を合わせる前から、 意見が合いませんでしたから」 と夫のフック(Phuc)さん。問題は山積みだという。「それぞれ家庭の味は違うもの、人に合わせていちいち変えるのは大変じゃないですか。家の立て直しでも揉めていて、 2 人の意見はいつも正反対。でも妻の前で母に反対できないし、かといって母の前で妻の味方もできない。妻はすぐ『別居したい』と言いますが、まずは説得、話し合い。 納得してもらえない時は、プレゼントをあげます。 男は問題を放置してはいけません。 すぐに対応しないと、2人の中がもっと悪くなりますから。 習慣はすぐには変えられませんが、 毎日言えば少しずつよくなるものです。 将来的に問題が半分くらいに減ってくれればいいんじゃないかなと思っています」。
ホーチミン市在住の女性 100 人にきいた嫁姑問題と別居 ・ 同居の関係 ※ 21 ~ 55 歳のホーチミン市在住のベトナム人女性 100 人に調査 ①夫の母親と同居していますか? -はい:36人 -いいえ:64人 ② (①で 「はい」 と答えた人に) 同居の理由 - 夫が長男で一人っ子 : 19 人 (53%) - 経済的な理由 : 7人 (19%) - 仕事に行く時、 家事 ・ 育児を姑に頼める : 6人 (17%) - 夫が母との同居を希望 : 3人 (8%) - 姑が優しい : 1人 (3%) ③ (①で 「いいえ」 と答えた人に) 別居の理由 - 夫 ・ 妻ともに実家とは別の場所に住んでいる:36 人 (56%) -嫁姑問題の回避 : 14 人 (22%) -経済的な理由 : 7人 (11%) -嫁姑が衝突 : 5人 (8%) -姑が他界 : 2人 (3%) 【解説】 ホーチミン市は地方出身者が多いため、 夫の家族と同居しない割合は高い。 同居理由は、「夫が長男で一人っ子」がトップとなった。
【Editor’ s Eye】 姑は 「私が正しい」、 嫁は「(不満はあるが)義母に従う」、夫は 「仲介」。 三者三様のようでいて、実は上手くまとまっている?世間ではひどい事件も起こっているが、夫の役割が大切なのは間違いなさそうだ。 とにかく、この家族がうまくいきますように…。
ベトナム嫁・姑壮絶ニュース ■夫の祖母、姑、夫に暴行され入院 ハノイ・クオックオアイ(Quoc Oai) 区のロアン(Loan)さん(21歳) は、2012年8月18日(土)、夫の祖母、姑、夫のキー(Ky) の3人から殴られて入院した。 4年前にキー(23歳) と結婚したロアンさんは、はじめの6ヶ月こそ、幸せな夫婦の生活を楽しんでいたが、そのうち次々と対立するようになったという。いさかいの主な原因は同居する姑との意見の相違で、夫はいつも姑の味方だった。 ある日、姑と祖母(姑の母) がロアンさんの父親の悪口をまくしたて始めた。ロアンさんが怒って反論すると、夫はロアンさんの髪をつかみ、壁に頭を押しつけて殴った。なんとか解決を願った彼女は、幼い子どもを連れて、これまで何度も相談にのってもらっていた女性の会の会長に相談に行った。だが、何度助言しても上手くいかなかったことから、会長は「自分で解決するしかないわね」と言うだけだった。 よく考えた末、ロアンさんは夫とよく話し合おうと帰宅。待っていたのは、離婚届を書いていた夫だった。夫は再び妻の髪を掴んで、 何度も何度も殴り続けた。そこに祖母と姑が飛んできて、一緒に彼女を殴った結果、ロアンは気を失った。彼女の姉が病院に連れていったという。 『フーヌートゥデイ/ Phu Nu Today』(http://phunutoday. vn)2012 年9月4日付の記事より 抜粋 ■義姉を刺殺して死刑に。 原因は食器皿 2009年に結婚したチャン(Trang)さんは、ホーチミン市タンビン(Tan Binh) 区で夫の家族と同居していた。毎日一緒に生活しているにもかかわらず、義理の弟タン(Thanh)は何かと難癖をつけ、チャンさんに家の中の物を一切使わせなかった。 2011年10月31日(月)昼、食事に戻ったタンは、チャンさんが家の皿を使っているのを見て、口ぎたなく罵り始めた。「ナイフであんたを刺してやる」というタン の言葉に、チャンさんは自室に逃げ込んだ。タンは台所から包丁を持ち出し、チャンさんを家から追い出したが、彼女が立ち去らないのを見て、タンはチャンさんを刺した。 助けを求める声を聞いて駆けつけた家族は、チャンさんを病院に運んだものの、すでに死亡していた。 『タンニエン/ Thanh Nien』 (www.thanhnien.com.vn) 2012年9月9日の記事より抜 粋 ■ホーチミン市に 「いい嫁になるためのクラス」登場 「バンブー教育センタ―」では、 「理想的なお嫁さん/ Co Dau Hoan Hao」教室を開講している。 同教室では、料理、生け花、野菜の飾り切り、バーテンダーの知識と技術を身に付けられる。いいお嫁さんだと褒められるために、“何でも できる嫁”の育成を目指しているのだとか。 Bamboo Education Center www.bamboo-edu.com
ベトナム嫁姑問題も根は深い? 姑・嫁・夫の三角関係