ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 8月号

ベトナムニュース解説上半期のGDP成長率4.38%、 昨年下回る

2012年6月29日(金)、統計総局は上半期の経済社会統計を発表した。国内総生産(GDP)成長率は4.38%、事業の困難や消費低迷で低い成長率となったが、経済は第2四半期から上向きつつあり、工業・建設業の成長率は第1四半期の2.94%から、第2四半期は4.52%に上昇している。 (『Sai Gon Giai Phong』2012年6月30日、p.02)

解説

2012年上半期、ベトナム経済は苦しみました。GDP成長率は2011年同期の5.63%に対し4.38%、鉱工業生産指数(IIP)の伸び率も2011年上半期の9.7%に対し4.5%でした。 インフレ・経済安定対策として政府は2011年に金融引締め、財政緊縮を実施。企業は高金利に喘ぎ、公共投資削減や物価上昇による消費の冷え込みで、資金調達できない、売れない、コストの増大という三重苦に陥りました。解散、活動停止する企業が増加し、企業の新規設立も低調でした。 こういった状況を受けて政府は、インフレ率の低下を踏まえて2012年3月頃から利下げに動きました。当初は「四半期ごとに金利を1%落とす」という方針でしたが、利下げを急ピッチで進め、年14%に設定されていた商業銀行の預金金利上限は、6月には9%まで引き下げられました。また5月には主に中小企業、労働集約型企業の支援を目的とした、税の減免を中心とする景気対策を打ち出しました。 株価はまだ上昇トレンドが見えませんが、冷え込んでいた不動産市場は特にマンションなどで価格がかなり落ち、実需のある人たちの手が届くようになり、金利が下がったことも後押しして10億VND(約389万円)前後の物件で取引が増加しているようです。

改正労働法を採択、 産休期間6ヶ月に拡大

国会は2012年6月18日(月)、改正労働法案を賛成多数で可決した。2013年5月1日(水)に発効する。 女性労働者は6ヶ月の産休が得られる。双子以上の場合、第2子以降は1人につき、さらに1ヶ月の産休が取得できる。産前休暇は最大2ヶ月、産休が改正法発効前後にまたがる場合、その期間は改正労働法に従う。 (ベトナム政府ウェブサイト 2012年6月18日/『Tuoi Tre』6月19日、p.03)

解説

産休期間の拡大は、数年前から議論されてきました。現行制度では4ヶ月ですが、その後子どもを預けられる保育施設はほとんどありません。そのため、出産に伴う退職や、職場復帰にあたってベビーシッターの雇用が必要となります。地方出身者では、都会で働きながらの子育てが難しいと、子どもを実家に預け、親子が離ればなれで暮らすケースもあるそうです。 今回の6ヶ月への拡大は、世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF)が推奨する生後6ヶ月間の完全母乳育児に合わせる意味もあります。 産休期間の拡大は多くの女性に望まれていたことで、女性には嬉しいニュースとなりましたが、雇用側にとっては頭の痛い問題です。ベトナムでは女性労働者が9割以上という工場もとても多く、女性が管理職など重要なポジションに就くことも一般的であるため、欠員補充や職場復帰時の対応など、企業はすでに対策作りに入っているようです。一方で、これにより採用時に男性が優先され、女性が不平等に扱われるのではという懸念も出ています。 なお法律が2013年5月発効ということで、子作り計画を先送りするカップルも増えているようです。

麻薬持ち込み、 タイ人女子大生に死刑

ホーチミン市人民裁判所はタイ人女子大生の被告(23歳)に、麻薬の違法運搬の罪で死刑を言い渡した。 2011年10月、被告はベトナムへの入国手続き中に、荷物に3kgのメタンフェタミンを隠し持っていたとして、ホーチミン市タンソンニャット(Tan Son Nhat)空港税関が摘発。同年2月、3月にもマレーシアからベトナムへ麻薬を運んだと供述している。 (『Thanh Nien』2012年6月27日、p.04)

解説

取締りを強化しているベトナムですが、麻薬の問題は後を絶ちません。空港での密輸阻止や国内での大規模な麻薬取引組織、自宅での大麻栽培の摘発など、新聞は毎日のように麻薬について報道しています。公安省麻薬犯罪捜査警察局によると、2012年上半期だけで1万件あまりの麻薬犯罪が摘発されており、これは前年同期比で370件増ということです。 ベトナムでは外国人が麻薬犯罪で捕まることも多く、死刑判決も複数出ています。また国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、ベトナムでは初めて麻薬を使用する年齢が低下しており、常用者で18歳未満の割合は5.8%(2009年報道)とされています。女性の麻薬使用者も増えているようです。 路地裏で、日中から公然と覚せい剤を打っていたり、公園などでふと足もとを見ると、注射器が散乱していたりと、ぞっとすることも少なくありません。
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