第71回 白く変色した歯は虫歯の一歩手前?

ベトナムメディカルトーク症例

5歳女児の歯がまだらに白くなっていることを母親が心配し来院。「脱灰」とよばれる虫歯の前段階であると診断。食生活および歯磨きについて指導を行い、定期健診で経過を観察中。

今回のドクター

内田結貴歯科医/スマイルデンタルセンター
①脱灰が進むと虫歯に! 「脱灰」とは、歯の表面にあるエナメル質からカルシウムなどが溶け出す現象を指します。本来、健康なエナメル質は、虫歯の原因菌や冷たい水の刺激などが直接、歯の神経へ届かないように守っています。ところが、この脱灰が進むとエナメル質がスカスカになってしまい、結果として穴が空き、虫歯へと進行していくのです。 ②脱灰のしくみと症状 実は飲食の度に、エナメル質の表面は目に見えないレベルで脱灰しています。その後、唾液中のカルシウムイオンなどによって4~6時間かけて修復していくのですが、修復中に再び飲食すると、完全に修復される前にエナメル質はまたしても脱灰してしまいます。これが繰り返されることで目に見えるような脱灰につながります。 脱灰は「虫歯予備軍」の状態のため、痛みなどの自覚症状はありません。ただ、歯のエナメル質の一部にチョークや軽石のような白さがある、あるいは歯全体がそのような状態になるので歯磨きの際などに見つけることができます。 ③食生活の見直しで予防しよう 早急に虫歯の治療をする必要はありませんが、他の歯より虫歯になる確率は高いといえます。改善への効果的な方法は、食べ方を工夫すること。飲食後に4~6時間の間隔をあけられるよう、食事は腹持ちのよいものを選びましょう。虫歯菌の餌である砂糖を多く含むジュースやお菓子をおやつに選ぶことも脱灰を進めます。甘いものを食べるなら、なるべくデザートとして食事時にとり、飲み物などはお茶や水が望ましいですね。 エナメル質へのカルシウムの取り込みを助けるフッ素入り歯磨き粉を補助的に使用するのも良いでしょう。さらに正しい歯磨き、定期健診を受けて虫歯へと進行しないように気をつける、といったことも大切です。
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