No.012 チャム一族の祝宴／Quinn Ryan Mattingly

チャウドックの川沿いにある小さなチャム族村の朝。仕事の撮影をしていると、「どこから来たの？」と強いアメリカ英語の若い声が耳に入った。振り返っても、典型的ないでたちの村人たちしかいない。だからその少年が、さらにアメリカのテレビ番組について尋ねてきた時、僕は戸惑った表情をしていたに違いない。 「なんでそんなことを知ってるんだい」と聞くと、少年と彼の家族はこの村出身だが、ペンシルヴァニアに何年も住んでいるのだという。翌日の叔母の結婚式のために帰郷したということだった。結婚式の写真を撮りにおいでと誘われたので、もちろん僕は招待を受けた。 翌朝に村に戻り、生まれて初めて目にしたチャム族のイスラム結婚式。すべてに好奇心が刺激された。一家はこの上なく親切で、そこで起こっている全ての大切なイベントに案内してくれ、ひとつひとつ説明してくれた。婚礼が行われていた小さな部屋は人であふれていたが、そこへも割り込ませてくれたおかげで、その様子を写真におさめることができた。思いがけない素敵な１日だった。

写真・文／クイン・ライアン・マッティングリー アメリカ人フリーカメラマン。1980年生まれ。ホーチミン市を拠点に、特集記事やフォトジャーナリズムを中心に活動。結婚式や商業写真なども手がける。 www.quinnmattingly.com

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