土橋 壮之 さん/「仁愛(ニャンアイ)老人ホーム」 介護福祉士/教育部長

人から必要とされる喜びを感じながら ベトナム人と共に介護業界を成長させたい

天職と感じる、楽しい介護職 日本の経験を生かし新たな環境で 大学卒業後はテレビCMの制作会社に就職。創造的で煌びやかな世界だったが、過酷な労働環境についていけず転職活動を続け、たどりついたのが介護職だった。 「食事やトイレなどのサポートを行っていくうちに、私がいないとおじいさんやおばあさんの生活が成り立たないことを実感したんです。誰かから必要とされるということにとてもやりがいを感じました」 しかし、日本では体力・精神的に厳しい、待遇がよくないなど、介護職のイメージが一向に回復せず、人手不足が深刻だと嘆く。 「欧州の介護業界は生き生きと働く人が多いと耳にしたことがあったんです。そんな現場を見てみたいと、2017年から約1年、イギリスの支援施設で経験を積みました」 イギリスでは、日本でも多くのベトナム人が活躍しているようにたくさんの移民が働いていた。驚いたのはイギリス人よりも移民の方が、介護の仕事に責任感を持ち、熱心に働いていたことだった。   他国の現状も知りたいと、日本への帰国前は介護施設を巡る旅に出た。12ヶ国ほど訪れ、そのうちの1つがベトナムだった。 「旅の最後に訪れたのが、現在勤めているニャンアイ老人ホームでした。その際、ベトナム人の代表からここで働いてみてはと誘われたんです。今後は介護実習生として日本へ渡る人材の育成も行うと聞いて、協力したいと思い就職を決めました」 介護職の認知度が低いベトナム 高齢化社会に向けて一歩ずつ改善 ベトナムの介護現場は、想像以上に日本と異なっており、驚きの連続だったという。 「ベトナムでは『介護』が何であるかが浸透していないんですね。医療と合わさったイメージが強く、職員も当初は病気の人を介抱するのが仕事だと思っていたみたいで。おじいさんやおばあさんが1日何もしないという日があったり。まずは、その環境を少しずつ変えていくことから始めました」 トイレに手すりを取り付けたり、料理やゲームなどのアクティビティを取り入れたりと、日本での経験をうまく活用しながら改善を試みた。 「昼ごはんの野菜の皮むきでも、洗濯物のタオルの畳みでも、何か1つ役割を持つだけで入居者に生きがいを感じてもらえることがあります。介護は決して看護ではなく、皆さんの生活の質を高めて幸せを感じてもらうのが仕事です。少しでも、生きることを楽しいと感じてもらいたいですね」 2020年からは、今後日本で働く予定のベトナム人介護実習生が通う介護教育センターの部長も任されるようになった。 「イギリスのように、日本の介護業界も外国人に頼る時代に突入しました。実は、ベトナムも高齢化社会に突入しているんです。だからこそ今からベトナムの介護環境に貢献できるよう、シルバー向けのサービスをお持ちの企業・団体さまとも連携を取りつつ、積極的に活動していきたいです」
土橋 壮之 つちはし まさゆき 岩手県盛岡市出身。2018年8月に渡越。現在は3ヶ月に1回のペースで、ハノイ市内で介護に関するプレゼンやディスカッションを行う「カイゴ(Kaigo)カフェ」も開催。2020年11月から、日本の車いすをベトナムに届けるクラウドファンディングにも取り組んでいる。
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