中部といえば…

今月の特集は「中部料理」である。赤だし大好き。というか、愛知・岐阜・三重の東海3県人にとって、味噌の赤さ=血の赤さ。ベトナムの日本料理屋で、味噌カツをドキドキ・ワクワクしながら注文してみたら、適当な安っちい変な色の味噌が、べったりと薄っぺらいトンカツに塗られて「はい、どうぞ」!? 初期の海原雄山ならば、皿を持って厨房に「この味噌カツを作ったのは誰だぁっ!!??」と怒髪天をつく勢いで殴り込みをかけるレベルの冒涜であり、世が世なら市中引き回しの上(「この者の味噌、赤く無し!」の札を首から掛けて)、味噌蔵で半年間の勤労奉仕を申し付けられるレベルの所業である。
そもそも、赤味噌がなぜ赤いのか。豆を醸すに豆麹を使い、豆は窯の中にありて啼く。もとは、これ、根を同じゅうする者同士をかけ合わせ、さらにじっくりと発酵時間を長くかけ、渋みと旨味と苦味と甘みのバランスが絶妙に取れた、味噌オブ味噌が生まれたのであり、そんじょそこらの個性のない味噌と一緒くたにするのは失礼千万。そして、その、味噌を生かした中部料理こそ、まったくもって…え? 違う? ベトナムの中部料理特集??? まじかよー。早く言ってよー。と、いうわけで、読者のみんな! ブンボーフエとかおいしいから、唐辛子とかレモンとか、ばんばんブチこんで好きなように食べてねー(超の字がつくほど投げやり)。今月もガッツだがや!
【今月の言葉】食材&弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム事情を踏まえて食卓にまつわる小ネタに切り込みます!