ハノイの“今”の風景を芸術作品にして残す ベトナムに伝わる絵画技法を受け継ぎ広めたい

ハノイで本格的に画家活動 ベトナム漆の技法を学ぶ日々 幼少期から絵画教室に通い、バルセロナ、ロンドン、メキシコシティといった芸術が盛んな街での生活経験もあったことから、画家を志すのは自然の流れだった。 「父の趣味が油絵だった影響で、私も始めてみたのがきっかけです。油絵は色を重ねて塗って盛り上げたり、砂を混ぜて質感を作ったりといろいろな技法があって、そこに楽しみを見出していました。あと、各国の美術館を巡るのも好きでしたね」 日本の美術大学でも油絵を専攻した。卒業後、画家としては大きく活動していなかったが、ハノイ生活をきっかけに、改めてその道を志すことになった。 「ハノイで教育関係の仕事が決まったので来越した際、ベトナム漆絵を見て驚きました。漆の作品と言えば日本の漆器のイメージでしたが、ベトナムの漆絵は様々な素材や技法があり、自由度が高いように感じます。その後、日本人の方が開いていた教室に行ったことをきっかけに、ベトナム漆絵にどんどん魅了されていきました。退職後は、ベトナム人の先生の元で習うようになりました」 毎日のように先生のもとへ通い、様々な技法を学びつつ、自身が描きたいと思うものを固めていった。 「建物の風景が好きなんです。意識して見ていると、ベトナムの建物はとても面白いことに気が付きました」 旧市街を歩くワクワク感を 絵を通して日本でも伝えたい ベトナムには古い建物をそのまま残し、時代に合わせてアレンジした建物や家が多い。 「特に旧市街です。時代によって変わる様々な建築様式が街中ごちゃ混ぜになっていて、今もその中で住んでいる人たちがいて、もう、歩くだけでワクワクします。旧市街は、少し見ない間にすぐ変化してしまう。だから、今この時の風景を残したいと思ったんです」 建物の質感を再現するため、卵の殻や貝殻、銀箔などを様々な方法で使い、ベトナム漆絵ならではの技法をふんだんに取り入れて作品を完成させていった。ハノイでは数回、展示会を開催。オリジナルのカレンダーを制作して販売したところ、好評だったという。 「今の目標は、描いたハノイの絵を、日本にいるベトナム人に見てもらうことです。海外で自国の文化に触れると、多くの人が誇りに感じると思います。私の絵を見て、ベトナム人に故郷を感じてもらいたい。だから今後は、日本での活動にも力を入れていきます」 残念なことに、ベトナムの伝統的な天然漆を使った制作方法を継承する人が減少傾向にあるという。 「今後も、ベトナム漆絵を制作していきます。これまで学んだ技術を使ったり、自分でも研究を続けていって、日本でも制作、発表をすることで、この素晴らしい伝統を伝えていける存在になりたいです」
濱田恵理子 はまだえりこ 宮城県仙台市生まれ。2013年に来越。2018年からハノイの絵画クラブ「アーバンスケッチャーズハノイ/Urban Sketchers Ha Noi」に所属し、定期的に市内各所へスケッチに出かけている。水彩画やペン画も得意。作品の一部は本人のインスタグラム(@ericohama)で公開中。
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