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カテゴリ:今月の特集
更新:2019/11/15 – 10:00

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ヌックマムの歴史は、1000年も前に始まったといわれている。
海に近い各地の港町によって、それぞれ使用される魚や作り方が異なる。
ヌックマムについて、ベトナムの経済新聞『ダウ・トゥ・チュン・ホアン/Dau Tu Chung Khoan』の
記者トゥアン・カイン(Tuan Khanh)さんに教えてもらった。

*情報提供協力:Dau Tu Chung Khoan
参考:http://infographic.tinnhanhchungkhoan.vn/2016/magazine/2016/7/hanh-trinh-nghin-nam-nuoc-mam-viet/index.html

997年から始まった ヌックマムの歴史

ジョージ・マカートニー(George Macartney)というイギリス貴族の旅行記によると、中国へ渡った1793年の旅で、ベトナムのダナンの港に寄り、そこで「四角形にスライスされた牛肉を、とても美味しいタレにつけて食べる」料理を紹介された。そのタレがまさしく「ヌックマム」だった。また、3人のベトナム人研究者が実施した研究によると、1479年に完成したベトナム編年体の正史「大越史記全書/Dai Viet Su Ki Toan Thu」には997年に行われたとある行事にヌックマムの記録があったことがわかった。ヌックマムは1000年以上も前から存在していたのだ。その他、多少の国の歴史書にも掲載された。
海外の記録にもヌックマムについての記載が発見されている。1つは、1621年に書かれた、ベトナムのイエズス会宣教師のクリストフォロ・ボリー(Christoforo Borri)の回顧録「ダン・チョン/Dang Trong(旧ベトナム南部)」だ。「ダン・チョンの人々は、魚をよく食べ、魚を柔らかくするための魚の塩漬けソースが大好きで、釣りが盛んだ」と書かれており、ヌックマムの存在が確認された。

 

各地のヌックマムには それぞれの歴史が存在する

長い海岸線に沿って、タインホア(Thanh Hoa)省やビンディン(Binh Dinh)省、フーイエン(Phu Yen)省、ビントゥアン(Binh Thuan)省などベトナム国内にはヌックマムを生産する地域がたくさんある。各地で作り方や使用される魚の種類は異なり、歴史の過程でそれぞれのヌックマムの人気も変化してきた。
1819~1840年の明命(ミンマン/ Minh Mang)帝の時代では、王族に捧げるための専用の品物として、ナムディン(Nam Dinh)省とニンビン(Ninh Binh)省のヌックマムが好評だった。また、19世紀末には、ハイズオン(Hai Duong)省のタインラム(Thanh Lam)区、ドンザン(Dong Giang)地区で作られたヌックマムは国内最高級のものといわれていた。
現在、人気が高まりつつあるのは、フークオック(Phu Quoc)島のヌックマムだ。約200年前に製造が始まったとされているが、脚光を浴びるようになったのは1950年頃のこと。人気の裏には、豊富な魚の種類など自然の恵みと特別な作り方がある。

 

ヌックマムの国内名産地 十人十色の歴史模様

Thanh Hóa

タインホア

名産地の中でもかなり古い歴史を持つ。ムロアジ(Ca Nuc)やボラ(Ca Doi)、アンチョビ(Ca Com)といった魚など、複数の種類の魚が使われている。
魚と塩を混ぜたものを、直径1m以上の木製樽に入れる。竹製の蓋でしっかりと覆い、蓋の上に多くの石を置いて魚を絞る。この魚と塩を混ぜたものにぬるい塩水を足しながら、何回もひっくり返し、1年近くかけてヌックマムを作り上げる。

 

Nghệ An

ゲーアン

1848~1883年の嗣徳(トゥドゥック/Tu Duc)帝時代から認知度は高かったが、匂いが強いと有名だった。タンパク質が多く含まれるムロアジ(Ca Nuc)、またはサバ(Ca Thu)も使われる。「ヴァンタム/Vang Tam」という木から作った樽の中に、獲れたての魚の場合は魚と塩を5対1の割合で、海ですでに塩漬けたものであれば塩の量を軽減する。9~12ヶ月かけて醸成させ、出来上がったものはさらにいくつかの工程を経てヌックマムが完成する。

 

Bình Định

ビンディン

200年の歴史があるといわれる有名なヌックマムブランド「ヌックマムゴーボイ/Nuoc Mam Go Boi」の誕生の地。ムロアジやアンチョビのほか、イワシ(Ca Moi)、カーソン(Ca Son)などの魚、「チュオップ/Chuop」と呼ばれる魚と塩を合わせたものをファンラン(Phan Rang)省などから仕入れることが多い。それらと粗塩を、幅1.5m、長さ2m、高さ1.5mの長方形の木箱の中に交互に入れ、その上に地元にしか生えていない植物「ラーキー/La Ki」を編んだ畳を被せる。最後に、丸い石を上に置いてヌックマムができるまで待つ。

 

Phú Quốc

フークオック

フークオックでは使用する魚はアンチョビのみ。アンチョビにもいろいろな種類があるが、高品質なヌックマムを生み出すのは、「ソックティエウ/Soc Tieu」、「コムドー/Com Do」、「コムタン/Com Than」の3種だ。

漁獲シーズンは7~12月

漁網を引っ張り上げた際に魚をラケットで拾い上げ、不純物を取り除いた上で海水で洗浄し、すぐに魚と塩を3:1の比率でかき混ぜ、船倉に運ぶ。その場で魚と塩を混ぜるこの方法は魚の身を分解しないため、可能な限りのタンパク質を残すことができ、出来上がったヌックマムの臭みも抑えることができる

塩をすり込んだ小魚は「チュオップ/Chuop」と呼ばれる。漁船が港に到着したら木製の樽に入れ、圧搾製法で発酵・熟成させる

フークオックでの標準的な発酵プロセスは12ヶ月、または15ヶ月。該当年月が経過したら、ヌックマムを取り出し始める。最初に絞り出し高級品となる30度以上のタンパク質を含む一番搾りの魚醤と、その後絞り出す20度以上のタンパク質を含む二番絞りの魚醤がある

一番絞りの液体の一部と塩をタンクに入れてかき混ぜ、再び液体を絞り出す。この方法で、自然製法で最も高い42度というタンパク質を得られる

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