後光効果で、対象を強く引き立てる黒 堂々とした印象を与え、交渉場面に有利

黒い器に盛られた料理は、ひときわ美味しそうに見えるものです。本格的なレストランでは、テーブル、盆、膳などにも黒が多く使われています。重厚さを感じさせ、有彩色をより鮮やかに見せる力があるからです。 背景との明度差がついて対象物がより引き締まって美しく見えたり、料理においては味までもが変化したように感じたりする現象を「後光効果」と呼んでいます。神や仏のように崇められている存在の背後が眩しく輝いているように見える状態からの言葉です。 最近では、高級食材を扱うスーパーマーケットなどでフードトレーに黒を使う店が増えてきました。背景となる黒がもたらす後光により、並べられた食材自体が輝いて見えるからでしょう。 また、黒は白とは正反対で、光を吸収し色味の存在しない状態です。古今東西、とても謎めいて神秘的な色の代表であり、格調高さ、静謐さ、秘密、成長を止める、人を遠ざけるといった意味合いもあります。あらゆるモノを拒絶する意志の表れでもあり、それが転じて秘密を守るパワーもあります。 断固とした信念の表現や、力強さを誇示する印象があり、強い意志を感じさせ、年齢以上に堂々とした印象を与えるので、ビジネスで交渉に臨むときにファッションや小物に活用するのも良いでしょう。
田岡 道子  Taoka Michiko カラースタイリスト、カラーデザイナー。カラーマイスター協会理事。DICカラー&デザイン社を経て独立。大学・専門学校等での講演、美容雑誌への寄稿多数。PPGタイランド社のオートバイ新色カラーショー、トヨタ自動車の色彩調査を担当。現在は世界各国を飛び回り活動中。著書に『COLOR OF LIFE 〜色を生活に取り入れよう〜』(税務経理協会)、『色で魅せる』(青月社)、『カラーコーディネーターになるには』(啓林書房)など。
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