メディカルトーク ベトナムで流行する「デング熱」 蚊に刺されないよう、地道な予防策を

メディカルトーク

症例

31歳男性。発熱と頭痛で受診。デング熱と症状が一致し、検査の結果陽性。解熱鎮痛剤で改善せず、その後全身に筋肉痛、発疹が出現し、食欲も減退、歩くのも困難に。連日通院しながら点滴を受け、約1週間で改善。

人によって重症度の異なるデング熱媒介するのは白黒の縞模様を持つ蚊

認知度が高まってきたデング熱は、ベトナムは流行地域です。症状の重さは人によってかなり異なり、特に休まずに済む人もいれば、今回の患者さんのように重い症状になる人もいます。2回目の感染時に重症化する、とも言われていますが、1回目は軽症で検査を受けなかったり、蚊に刺された認識がなかったりするケースも多いので、2回目を予測するのはなかなか困難です。 デング熱は実際に蚊に刺されてから発症するまでに約1週間かかることが多く、高熱があっても「昨日蚊に刺された」方がデング熱である可能性は高くありません。 また、媒介する蚊は体が白と黒の縞模様ですので、やっつけた蚊をよく観察すれば、デング熱かどうか判断できます。

デング熱を防ぐための1番の有効策は やはり蚊に刺されるのを防ぐこと

現在、デング熱ワクチンはベトナムや日本では接種できず(タイやシンガポールで可能ですが、年齢制限があり、6~12ヶ月かけて3回接種が必要)、治療薬もないことを鑑みれば、やはり蚊に刺されないようにするしかありません。虫除けスプレーや蚊取り線香を使うなどのほか、出かける際は肌の露出を減らす、蚊は濃い色に近づく傾向があるため白など薄い色のシャツやズボンを選ぶなどの対策が有効です。 また、同じく蚊が媒介する“デング熱の軽症版”ジカ熱も今後増えると予想されます。妊婦の感染は胎児に小頭症などの先天性の障害を来すことがあり、性行為で感染しうる(デング熱はヒトからうつらない)ので、妊娠希望の女性やご家族は注意が必要です。
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