ベトナムの日本人/長谷川舞さん/管理栄養士

食を通じて、健康や未来、幸せをたくさん提供したい そのために、今自分にできることをコツコツと

Japanese_001 急速に発展していくベトナムの 社会の中で仕事をしてみたい 「以前から海外で働いてみたいなという気持ちはありましたが、栄養士の仕事をするということが前提でした」 ベトナムを初めて訪れたのは7年前、大学生のときだ。その頃のベトナムには“栄養管理”という概念がなく、栄養士という職業の需要はないに等しかった。 「まずは栄養士としての経験を積むべきだと思い、日本で老人保健施設に勤めました。4年の経験を積んで転職を考え始めたときに、そういえば私、海外で働きたかったんだってふと思い出して」 2014年8月、再びベトナムの地を踏んだ。 「ホーチミン市を選んだのは、ツテもありましたが本当にたまたまで。約5年ぶりに来たらとても発展していて、全然知らない街になっていました。急速に成長していく社会の中で生きていくことにとても魅力を感じて、こちらで働くことを決めたんです」 できることからコツコツと 少しずつ変えていきたい 管理栄養士の仕事の中でも、「栄養相談や食生活改善サポートの仕事が1番好きですね」と、表情を緩める長谷川さん。  2016年3月から、ロータスクリニックで栄養指導のカウンセリングを行っている。 「3日間の食事レポートをもとに話しますが、患者さんによって目標や熱意、性格が全く違うので興味深いんです。飲酒習慣などはわかっていても変えられない人も多いので、一緒に水を飲むなど、できそうなことから少しずつアドバイスします」 少数だがベトナム人の患者さんもいる。 「栄養士の認知度は少しずつですが高まってきていて、現在、ベトナムでも栄養士制度が作られています。5年、10年先にはもっと必要になるのではないでしょうか」 2017年に入り、新たな挑戦も始まった。ロンドゥック工業団地でのレストラン運営と、工員向けのランチ提供だ。 「日本式の栄養管理と衛生管理がウリですが、そもそもそういったニーズがまだないと感じます。完全に“質より量”!(笑)。まだまだこれからですね。試行錯誤中です」と苦労は見えるが、その表情は力強く明るい。 一緒に働くスタッフたちへも、焦らずに教えていくことが大事だと感じている。 「衛生管理なども理解してもらうのに時間はかかります。ベトナムでは肉を洗うなど、感覚や習慣が異なるものはたくさんあって、それは仕方ないこと。自分のできる小さなことからコツコツと教えていくしかないなって」 フリーで働くときの屋号は「ベリッシマ!ハッピーフードデザイン/Bellissima! Happy food design」。ベリッシマはイタリア語で「世界で一番きれいな人」という意味だ。 「生活が豊かになるように、食事の面からお手伝いできたらなと。栄養管理の考えを少しずつ深めていくベトナムで、食に興味がない人たちにも栄養教育をしていきたいですし、日本みたいな社員食堂や病院、学校の食堂も作れたら嬉しいですね」
長谷川舞 はせがわまい 愛知県出身。京都女子大学食物栄養学科にて管理栄養士の資格を取得。2014年8月に来越。現在は「エムツーグロウ/M2 GROW」にてレストラン運営、給食事業に携わりながら、「ロータスクリニック」での栄養相談や「スターキッチン」での日本食講座などを行っている。
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