ベトナムの日本人/竹野和浩さん/ケイテンベトナム社長

技術も自転車も“本物”を知ってもらいたい Uターンを知らない自転車乗りの、ベトナムでの挑戦

[caption id="attachment_82499" align="alignnone" width="570"]Japanese_4319 高校・大学と本格的に自転車競技に取り組み、全国大会2位の成績を収めたこともある竹野和浩さん。日本の自転車競技界を代表する名選手・名監督の大門宏氏とは同期で、一緒に汗水を流した仲だ。社会に出て自転車から遠のいていたが、2011年にハノイで自転車仲間ができ、約30年ぶりに再開した。 「いちばん印象深いのは、バックハーです。視界が広~く傾斜が緩くて、ゆっくり登っても2時間ほどで山頂の少数民族の村まで行けます。長距離だと、ハノイからホーチミン市1800㎞の縦断で約1週間。テトなら車もバイクも減るので走りやすいですし、田舎だと新年最初のお客さんが外国人の場合、飲み食いがタダになるんですよ」 2011年当時、ハノイに出回っていたのは、欧米製の自転車か、中国製の類似品のみ。「僕もイタリアの有名メーカーの高い自転車に乗っていましたが、どうもしっくりこなくて。高校時代の友達に話したら、『おめぇ日本人じゃろうが。ブリジストンに乗ってみいや』と叱られましてね。試したら、目から鱗!」 ベトナムでもブリジストンの自転車をと、2014年4月にはブリジストン社と代理店契約を締結。自転車の販売も始めた。 「ベトナム人にはまだ安い中国製が主流ですが、一応私の店には日本基準をパスした純正品があるという認識はあるようです」 本業は内装業で、49歳で単身ハノイへ渡り、ベトナム人パートナーと内装会社を起業。3度にわたりパートナーや社員による金銭問題が発覚し、時には一文無し同然になりながらもその都度会社を立て直し、これまでなんとか続けてきた。 「友人は『3度も痛い目見たんだから、もう日本に帰れ』と言いますし、帰るかなって1日に何回も思います。でも、戻るっていう選択はないんです、僕の場合は」 自転車と同じで1度走り始めたら、Uターンはなし。ゴールまで漕ぎ続けるのみの「馬鹿な自転車乗りの習性」と自嘲する。 「余力がある限りこの場所でなんとか頑張りたいんです。大したことはできなくとも、やっぱり来た以上は何か残せたらいいなと」 日本の現場で職人として20年以上培ってきた技術を教えるのもそのひとつだ。 「どのようにすれば早く良いものができるのか。ほかの内装屋さんにも、私の施工技術を全部教えます。仕事しつつもライバルを作る。いいんですそれで」 ベトナムに貢献しているなんて思ってはいない。ただ技術向上は大切だ。日系の顧客が求める日本の質を現場のベトナム人に教育するのは容易ではない。 「目先の収益や上辺ばかりを見ても、お金は使えばなくなるし、将来的な意味はない。でも技術や経験はなくならないんです。だから僕は、目先のお金ではなくベトナムにはないたくさんの日本の技術を教えます」 技術にしろ自転車にしろ、ほんのきっかけにさえならないかもしれないが、自分のすることで本物を知ってもらえたらと願う。 「それがベトナム発展の手助けになればいいなと思います」
竹野和浩 たけのかずひろ 広島県出身。高校・大学在学中は自転車部に所属し、数々の自転車競技に出場。2011年にベトナムに渡り、ケイテンベトナム(KEITEN VIETNAM CONSTRUCTION JSC)を設立。2012年にブリジストンと代理店契約を結び、2014年から代理店業も行う。
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