メディカルトーク 歯の根元の段差が気になっていませんか?/咬み合わせが原因の「楔(くさび)状欠損」かも

メディカルトーク

症例

40歳女性。以前から歯茎が痩せてきたと思っていたが、最近は歯茎に穴が開いて痛いとのことで受診。実際は歯茎ではなく、歯がくさび状に減っており、プラスチックを詰めることで、痛みも見た目も改善した。

今回のドクター

幾島章仁歯科医師/ハノイ三国歯科

① 「楔(くさび)状欠損」って?

主に前から4番目より後ろの歯の、歯と歯茎の境目の歯質が楔(くさび)状に鋭く削れたような状態のことです。大きさは高さ0.5~5 mmくらいで、歯の根元を爪でさわると段差が感じられます。30代以降の人に発生することが多いです。

② 原因は咬み合わせ

20年前までは歯みがき時のブラッシングにおける力の入れすぎと言われていましたが、ほとんどの原因は咬み合わせの力によって歯が受ける衝撃によるものだと解明されました。特に睡眠時に歯ぎしり、くいしばりがある人は、その力の負担が歯の根元のエナメル質にかかり、エナメル質が時間をかけて崩壊し、楔(くさび)状の欠損を作ります。

③ 人によって自覚症状はさまざま

大きく欠損していても無症状の人もいますし、0.5mmくらいでも冷たいものがしみたり、歯ブラシの毛先でさわるだけで、ピリッと神経にさわる感じがするという人もいます。いわゆる”知覚過敏”という症状です。

④ 治療法は?

症状があるときは知覚過敏の薬剤を塗布したり、プラスチックやセメントで詰め物をしたりして欠損部分を補います。症状が無いときは、何もしないこともありますし、見た目が気になるのであればプラスチックで詰めることもあります。ただ、虫歯の治療のときよりも詰め物が取れやすい傾向があります。

⑤ 予防するためには

明らかに歯ブラシで強く横みがきをしている場合には、歯科医院で正しいブラッシング方法を指導してもらいましょう。主な原因は夜間の咬み合わせの力ですから、寝るときにマウスピースを使って、上下の歯に力がかからないように予防することもあります。
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