メディカルトーク 「生理痛」、痛み止めだけで我慢していませんか?/つらいときには低用量ピルも有効な手段の1つ

メディカルトーク

症例

24歳女性。妊娠・出産歴はなく、半年前に夫の転勤でベトナムにやってきた。もともと生理痛がひどく、日本ではほぼ毎月バファリンなどの市販薬を内服。手持ちの薬がなくなったため、鎮痛薬の処方を希望して来院。ピルを内服し、症状が軽減した。

今回のドクター

安部茂医師/さくらクリニック(ハノイ)

① 悩ましい生理痛

女性ならば経験の多い「生理痛」。腹痛や腰痛、頭痛、吐き気などの症状が多く、人によっては動けなくなるほどの痛みに悩まされる場合もあります。原因はホルモンや冷え、ストレスなどで、対策として、多くの人が痛み止めの薬を飲んでいます。

② 低用量ピルも有効的

最近は「低用量ピル」を使う人も増えています。「ピル=避妊薬」の印象が強いかもしれませんが、避妊以外にも生理痛軽減、生理前の精神的・身体的症状(月経前症候群)の改善、生理日の調整などの効果があります。妊娠したいときには内服をやめれば、すぐに妊娠可能になります。

③ 処方されるまで

当院でも低用量ピルを処方しています(事前連絡要)。内診は行いません。現時点で妊娠希望がない、喫煙しない(例外あり)、これまでの病気などを確認した上でピル内服可能と判断されれば、副作用や内服上の注意点などを説明し、内服に同意頂いた上で処方します。内服開始当初は副作用の出現頻度が高いため、2週間~1ヶ月ごとに来院して頂き、体調の変化を確認します。

④ 使い始めは副作用も

内服開始時は頭痛、吐き気、足のむくみ、生理以外での出血などの症状が出ることがあります。多くの場合、3ヶ月程度で消失するので症状が軽ければ内服を継続し、重ければ他の製剤への変更を検討します。重度の場合、血管内に血の塊ができ、肺や心臓、脳の血管をつまらせる血栓症がありますが頻度は稀です。

⑤ 普段から気をつけたいこと

生理痛軽減に、ピルの内服は1つの有効な方法ですが、普段の生活にも気をつけましょう。規則正しい生活、適度な運動、体を冷やさないことなどが大切です。
関連記事
Related Articles
メディカルトーク ワクチンのキャッチアップ接種 大部分はベトナムでも接種が可能
2021.04.19

メディカルトーク ワクチンのキャッチアップ接種 大部分はベトナムでも接種が可能

メディカルトーク 歯に着色してしまう「外来性色素沈着」 ベトナムの水も関係しているかも
2017.08.08

メディカルトーク 歯に着色してしまう「外来性色素沈着」 ベトナムの水も関係しているかも

メディカルトーク 歯の根元の段差が気になっていませんか?/咬み合わせが原因の「楔(くさび)状欠損」かも
2017.03.23

メディカルトーク 歯の根元の段差が気になっていませんか?/咬み合わせが原因の「楔(くさび)状欠損」かも

過度のアレルギー反応「アナフィラキシー」/母子感染や性行為、輸血による感染リスクも
2017.02.24

過度のアレルギー反応「アナフィラキシー」/母子感染や性行為、輸血による感染リスクも

メディカルトーク 第123 回/都市部でも遭遇する可能性あり ヘビに噛まれた時はどうしたらいいの?
2016.07.06

メディカルトーク 第123 回/都市部でも遭遇する可能性あり ヘビに噛まれた時はどうしたらいいの?