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ベトナムの日本人
村山康文さん
フォトジャーナリスト

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カテゴリ:ベトナムの日本人
更新:2016/10/10 – 10:00

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文洋さんが教えてくれた「責任」
人生を背負う覚悟で、取材相手と向き合い続けたい

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「文洋さんの背中をね、ずっと見てたいと思ったんよ」。

大切な宝物をそっと取り出すように、報道写真家・石川文洋氏との出会いを振り返るのは、ベトナムの社会問題を追うフォトジャーナリストの村山康文さんだ。

「世間で悪いとされていることは一通りやった」という荒んだ20代を過ごしていたが、1998年に大学の夜間コースへ入学。同時期に教授の紹介で石川氏のベトナムツアーに同行した。

「すべての所作から、優しさがにじみでている人」と村山さんが話す石川氏は、作品のひとつに『飛び散った体』がある。解放軍兵士の死体と、それを手に吊り下げて持つアメリカ兵の写真だ。

「悲惨な人殺しを目の前で見てきた人なのに、なぜこうも優しいのか。すべてを許し、理解をされている人だと感激しました」。

ツアー後、一人でもベトナムを訪れるように。「異臭が漂いゴミ溜めのようだった」バックパッカー街には麻薬の打ち損じで倒れている人がいるなど、この国のリアルを目の当たりにした。自分の辛かった過去とも重なったといい、「自分より苦しい生活をしてる人が、わんさかおった。なのに何でおまえらケラケラ笑ってんねん! ってめっちゃ腹が立った」と笑いながら振り返る。

これら一連の出会いと経験に背中を押され、フォトジャーナリストの道を進み始めた。

ジャーナリストの中には、取材対象者に感情移入はしない人もいるが、村山さんは「たやすいことではないのは百も承知やけど」と前置きした上で、「その人の人生をともに背負う覚悟でいる」と言い切る。50年にわたってベトナムに関わり続けている石川氏には、「一度関わったからには、責任をもつ」と教えてもらった。

「文洋さんのように優しい人になりたい。それが僕のすべてです」。

取材時に感じるジレンマは当然ある。

「僕に何ができるわけでもない。話す必要性なんかひとつもないじゃないですか」と口早に吐露する。それでも、悲しみを抱えて生きる人の声にならない声をさらけ出してもらえる瞬間は、「感動で胸が震える」という。

心に残っている取材の1つは、HIVに感染した男の子・フー君との1年半にわたる交流だ。心の距離が縮まるまでに時間を要したが、何度も会いに行き友達のように遊んでいた。

「最後に会った日、横たわったまま僕に向けたフーの柔らかな笑顔が今でも心に焼き付いています」。

ベトナム戦争中に娘を目の前で虐殺された、老婆レさんへの取材も印象深い。インタビュー後、堰を切ったように泣き崩れたレさんの姿を、自身も発狂しそうになりながら必死でシャッターを切り続けた。

最終目標は、世界が平和であることだ。

「世界が良い方向に向かっていくための作業をやる人がいても、いいんじゃないかな。僕にとっては、時代を記録していくことです」と村山さん。フォトジャーナリストとしてベトナムの今と真正面から向き合い、“真実”だけを切り取っていく。

村山康文 むらやまやすふみ

兵庫県出身。1998年9月、使い捨てカメラを手に石川文洋氏に同行し初来越。同時にカメラを始める。2008年3月、初の書籍となる『いのちの絆 エイズ・ベトナム・少女チャン』を出版。ホーチミン市の戦争証跡博物館に写真を常設展示。

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