メディカルトーク 第123 回/都市部でも遭遇する可能性あり ヘビに噛まれた時はどうしたらいいの?

メディカルトーク

症例

都市部の日系企業で働くベトナム人女性が、社員寮の自室で夜寝ている際に、ヘビに咬まれる。すぐに病院に搬送されて血清を打ち、大事には至らなかった。

今回のドクター

アリソン・キャノン氏(Ms. Alison Cannon)/インターナショナルSOSハノイクリニックマネージャー

① 日常に潜む「ヘビ咬症」

ベトナムには140種以上のヘビがおり、うち30種は毒をもっているといわれています。都市部にも湿地、湖、池などが多く、また近年、日系企業や邦人の居住地が郊外に広がり、ヘビをはじめ毒を持つ動物に遭遇する機会が増えています。

② とにかくヘビを近づけない

毒を持つヘビを見分けることは難しいため、種類にかかわらず、ヘビが生息する場を作らないことが大切です。周囲に草の茂みを作らない、生ごみや水の溜まったバケツなどを放置しないなどの対策をしましょう。またヘビは夜行性であるため、夜は外灯をつけることも有効です。

③ 噛まれた時の応急処置

噛まれた場合には、毒が血流に入り込んで体中に広がるのを防ぐため、咬まれた所を心臓より低い位置に固定し、患者を横にして動かさないようにします。後で腫れてくる可能性もあるため、指輪や時計等ははずします。ヘビの色や大きさなどの特徴を覚えましょう。決して捕まえようとしたり、殺したりしないでください。ヘビはたとえ頭と体が切り離されても、噛み付く可能性があります。

④ 医師からのアドバイス

映画などで、毒が回らないように腕をきつく縛ったりする場面がありますが、血流を止めると痛みが増すだけでなく、血流障害が残ったり、かえって毒が滞り、壊死してしまう恐れも高くなります。口で毒を吸い出さない、傷口の周辺に切り込みを入れたりしない、傷口をごしごし洗わないことも重要です。他国と同様、どの病院にも血清があるわけではありませんが、救急車やタクシーで速やかに患者を近くの医療機関に連れて行くことが大切です。搬送先で急激に症状が悪化することがあるため、厳重に管理しつつ、血清の入手を待つ必要があります。
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