ベトナムの今がよくわかる/ ベトナムニュース解説 7月号

鉄・プラ・紙廃材の原料輸入に保証金、ゴミ排出源では分別

廃棄物・廃材の管理に関する新政令38/2015/ND-CP号によると、生産原料用の鉄鋼やプラスチック、紙廃材は、輸入ロット総額の最大20%を保証金として納めなくてはならない。 政令は有害・産業廃棄物、生活ゴミ、廃水等の管理について定めたもので、再利用や再生の強化を目指し排出源での分類責任などを盛り込んでいる。有害廃棄物は分類し適切な容器に保管、発生施設は地域資源環境局に登録し、回収・輸送は認可業者しかできない。 (『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』 2015年5月5日、p.02/『Tuoi Tre』 2015年5月6日、p.07/『Sai Gon Tiep Thi』 2015年5月6日、p.04)
解説 「世界のゴミ捨て場にならぬよう」を合言葉に、近年ベトナムは「廃棄物」の管理に力を入れています。 衣料品や家電、IT機器などの中古品は輸入が禁止されているほか、生産用の機械類も中古品の輸入を厳しく制限する新規定が2014年に出され、先日も廃棄された家電類をメーカーや輸入者が回収しなければならないとする新決定が出されました。 「生産原料」として実際には「ゴミ」が輸入されたり、旧式の機械設備による生産で環境汚染が引き起こされたりといった問題からできた規定ですが、唐突で、厳しすぎる規定には、企業から批判も多数出ています。 鉄や紙などの輸入廃材の保証金制度には企業負担が大きすぎると批判があり、中古機械の輸入規制は、輸入が認められる中古品の使用年限や品質の区切りの根拠が不明といった批判が相次ぎ、発効日直前に実行が中止されました。廃家電等のメーカー回収も、本来2015年開始予定でしたが、2015年も半年を過ぎようとしたところで、2016年7月からとする新決定が出されました。今後は規定をどう現実的に実行していくかが課題といえます。

ハノイの都市鉄道工事現場で事故多発

2015年5月10日(日)、ハノイのメトロ3号線ニョン(Nhon)―ハノイ駅区間の工事現場で、クレーンから鋼矢板が道路に落下、工事現場のフェンスが破損した。 5月12日(火)には同区間の別の現場でクレーンが道路を横切るように倒れ、家屋を押しつぶし、カットリン(Cat Linh)―ハドン(Ha Dong)線の工事現場でも鉄の棒が落下し、自動車にぶつかった。 (『VnExpress』2015年5月10日/『Thanh Nien』2015年5月13日、p.03)
解説 3日間で2つの事故が起きたメトロ3号線は韓国企業が請負い、中国のODAによるカットリン-ハドン線は2014年11月にも鉄筋が落下し通行人が死傷、12月には支保工の崩落事故を起こしています。 鉄道以外にも2015年3月に台湾企業の中部の製鉄所プロジェクトで足場が崩落、多数の死傷者を出し、韓国人現場監督ら2人が逮捕されました。 今回の鉄道工事現場での事故を受けハノイ市は、タワークレーンの利用を22時~翌6時に制限し、日中の作業を禁止しましたが、さっそく違反が見つかっています。 「安全第一」。ベトナムでも建設現場には必ず掲げられている標語ですが、安全に対する理解は非常に浅く、意識向上にはまだまだ時間がかかりそうです。

スーパー、コンビニ利用増える、ニールセン調査

市場調査会社ニールセン(Nielsen)の「Eコマースと新たな小売形態に関するグローバル調査」によると、ベトナムでは1年前と比べ、34%がハイパーマーケット、29%がスーパーでより頻繁に買物をするようになっている。 22%が過去12ヶ月に、より頻繁にコンビニで食品や食料雑貨を購入している。28%がオンラインショッピングを利用したことがあり、主にボディソープ、シャンプーなどのパーソナルケア用品を購入している。 (『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』 2015年5月4日)
解説 都市部を中心に、ベトナム人の主な買い物先は、伝統的な市場や個人商店から、スーパーやコンビニなどの「近代型」に変化しています。 値段表示もなく、商品が乏しく管理も甘く質が不確かな「伝統型」に対し、「近代型」は値段が明示され、豊富な品揃えでしっかり管理され、店内も涼しく清潔感があります。大型商業施設にはオシャレなショップや飲食店のほか、映画館など娯楽施設も併設されており、若者や家族連れで週末はどこも大賑わいです。 こうしたトレンドの変化と規制緩和から、小売市場には外資の新規参入が相次ぎ、2014年はイオンがホーチミン市とビンユーン(Binh Duong)省で、タイのセントラルグループがハノイとホーチミン市でショッピングセンターをオープン。韓国のイーマートも2015年末にホーチミン市1号店をオープン予定です。 オンラインショッピングの利用も増えており、都市部のみならず地方でも利用が急伸しているようです。企業の運営するサイトばかりでなく、ソーシャルネット等を通じた個人的な売買も盛んです。
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