メディカルトーク/第111回 出産や胎児にも影響 妊娠性歯周炎

メディカルトーク症例

28歳の妊娠中の女性が、歯茎の出血と腫れがおさまらず、歯石除去を受けたものの改善しないためセカンドオピニオンを求めて受診。妊娠性歯周炎と診断され、歯茎の中まで入りこんだ歯石を除去して症状が改善した。

今回のドクター

内田結貴医師/スマイルデンタルセンター
①「妊娠性歯周炎」ってどんな病気? 妊娠性歯周炎は、妊婦さんが歯周病にかかっている場合に起こります。歯周病にかかっている妊婦さんはそうでない妊婦さんと比べて、早産や低体重児出産の危険性が7.5倍も高いという報告もあります。通常の歯周病の症状に伴う妊婦さん自身への影響だけでなく、出産や胎児へのリスクが高まることも妊娠性歯周炎の大きな特徴です。 ②妊娠で女性ホルモンが増加し発症 もともと歯周病のリスクを持っている、あるいは歯周病にかかっている女性が妊娠すると、妊娠に伴う女性ホルモンの増加により歯周病の原因となる細菌の働きが活発になります。このため、少しの歯垢や歯石でも歯周病が重症になることがあります。 ③妊娠性歯周炎の症状とは? 歯肉の腫れや出血を起こすことが多いです。早産などを引き起こす仕組みはまだはっきり解明されていませんが、歯周病の重症化により炎症を引き起こす物質が増加し、腫れや出血が起こります。この炎症物質には子宮を収縮させる作用もあるため、早産が起こるのではないかといわれています。 ④治療は妊娠中期が最適 通常の歯周病治療と同様に、まずは歯垢や歯石の除去が最優先になります。時期としては比較的安定している妊娠中期(5~7ヶ月)が望ましいでしょう。産後も歯科治療のための時間を取るのは難しくなりますから、この時期にしっかりと治療しておくことが大切です。 ⑤日頃の歯磨きをしっかり行おう 妊娠を予定している方は定期検診などで歯周病予防に努めましょう。日頃の歯磨きをしっかり行うことで歯周病を防ぐのが一番ですが、つわりがひどい場合は歯磨き粉を使わない、なるべく小さい歯ブラシで丁寧に磨く、うがいをこまめに行うなどの工夫も大切です。
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